• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

1‐10月「スイーツ店」倒産36件  前年同期の2倍増 物価高、人手不足が小・零細店舗の経営を直撃

2024年1-10月「スイーツ店」の倒産状況


 コロナ禍を経て街に活気が戻ったが、「街のケーキ屋さん」などのスイーツ店(菓子製造小売店)が苦境に直面している。スイーツ店の倒産は、リーマン・ショックの傷が癒え始めた2013年に、2000年以降で最多の45件発生した。その後、30件台で推移し、コロナ禍は関連支援策に支えられて15件(2022年)に急減した。
 だが、コロナ禍が落ち着いた2023年は、円安の加速で原材料などの価格が上昇し26件に急増。2024年も1-10月で36件(前年同期比100.0%増)と前年同期の2倍増で推移している。
 現在のペースで推移すると、2024年は2013年を抜いて2000年以降、最多を更新する可能性が出てきた。

 スイーツ店の倒産は、コロナ禍は持続化給付金やゼロゼロ融資など資金繰り支援で抑制された。だが、コロナ禍の収束で支援策が縮小・終了すると同時に、円安が進行した。小麦粉やバター、カカオなどの原材料費、光熱費などのエネルギー価格が上昇、小・零細規模の経営を直撃した。物価高に起因したスイーツ店の倒産は、2023年が6件、2024年1-10月は7件発生した。

 価格、味、デザイン、そして店舗内装など、スイーツ店はあらゆる要素でお客の満足度を求められる。最近は、手頃な価格でバラエティーに富むコンビニスイーツも台頭しているほか、次々に「甘くて美味しい」商品が市場に投入され、ブームが繰り返されている。
 消費者の嗜好は常に変化し、スイーツ業界は浮き沈みも激しい。原材料や人件費などのコストアップへの対応力の差もあり、消費者を掴む戦略と商品を生み出せないスイーツ店の生き残りは厳しさを増している。

※本調査は、日本標準産業分類の「菓子小売(製造小売)」の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。


スイーツ店の倒産 年次推移


✔原因別は、最多は「販売不振」の29件(構成比80.5%)。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が5件、「事業上の失敗」と「他社倒産の余波」が各1件。
✔形態別は、最多が「破産」の35件(構成比97.2%)。「特別清算」1件と合わせ、すべて消滅型の倒産で、再建型はなかった。
✔資本金別は、1千万円未満が32件(構成比88.8%)で、スイーツ店倒産の約9割を小・零細規模が占めた。一方、1億円以上は発生がなかった。
✔負債額別は、「1千万円以上5千万円未満」が25件(構成比69.4%)で約7割を占めた。このほか、「1億円以上5億円未満」が7件、「5千万円以上1億円未満」が4件だった。
✔従業員数別は、「5人未満」が26件(構成比72.2%)で最多。すべて従業員20人未満で、小・零細規模の店舗の苦境を示している。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

3

  • TSRデータインサイト

米穀卸、令和のコメ騒動で25年度の業績急伸 ~ 26年度はコメ価格下落で暗転へ ~

コメ価格の急騰や品不足で市場が混乱した「令和のコメ騒動」が過ぎ去った。コメを供給してきた米穀(米麦)卸売業は4期前と比べて売上高が約2倍、利益(最終利益)は4.5倍と、業績が急拡大したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。

4

  • TSRデータインサイト

「お弁当屋さん」の倒産、2年連続で過去最多へ ~ コメ価格下落と消費税引き下げもコスト高 ~

「お弁当屋さん」の倒産が急増している。2026年は8月までに83件に達し、これまで最多の2025年(1-12月)の89件超えが確実だ。コメ価格下落の兆しがみえ、食品の消費税率引き下げも控える。だが、肉や野菜などの食材や包装資材、電気・ガス料金の値上がり幅は大きく、経営の重しとなっている

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

TOPへ