• TSRデータインサイト

8月の新型コロナ破たんは235件 高水準続く

 8月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が235件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万520件に達した。1月以来、7カ月ぶりに月間250件を下回り、コロナ破たんは一進一退を繰り返しながら、月間200件超で推移している。

 国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.293%で、全国の企業400社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.511%、次いで福岡県の0.446%、宮城県の0.442%、広島県の0.359%、大阪府の0.357%と続く。一方、最低は高知県の0.119%で、地域によってばらつきがある。

 コロナ関連破たんは今年に入って1月(230件)に次いで2番目に少なかった。ただし、依然として「ゼロゼロ融資」の利用後の経営破たんが目立ち、脱コロナの恩恵を受けることができないまま、体力の乏しい企業はコロナ関連融資の返済資金の捻出に苦慮している。ここに、人件費の負担増などコストアップが重なり、企業収益を圧迫している。こうした状況下で、コロナ関連破たんは体力の脆弱な小規模企業を中心に、一進一退を続けながら高水準で推移する可能性が高い。

月別 判明件数(負債1000万円未満含む)

【都道府県別】~ 300件以上は8都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が2,139件と全体の2割強(構成比20.3%)を占め、突出している。以下、大阪府973件、福岡県605件、愛知県508件、兵庫県450件、神奈川県444件、北海道439件、埼玉県362件と続く。
 300件超えが8都道府県、200件~300件未満が7府県、100件~200件未満も11県に広がっている。一方、10件未満はゼロで、最少は鳥取県の24件。

都道府県別破たん状況

コロナ破たん率 都道府県別

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年度「人手不足倒産予備軍」  ~ 今後は「人材採用力」の強化が事業継続のカギ ~

賃上げ圧力も増すなか他社との待遇格差で十分な人材確保ができなかった企業、価格転嫁が賃上げに追い付かず、資金繰りが限界に達した企業が事業断念に追い込まれている。  こうした状況下で「人手不足」で倒産リスクが高まった企業を東京商工リサーチと日本経済新聞が共同で分析した。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-11月の「人手不足」倒産 359件 サービス業他を主体に、年間400件に迫る

深刻さを増す人手不足が、倒産のトリガーになりつつある。2025年11月の「人手不足」倒産は34件(前年同月比70.0%増)と大幅に上昇、6カ月連続で前年同月を上回った。1-11月累計は359件(前年同期比34.4%増)と過去最多を更新し、400件も視野に入ってきた。

3

  • TSRデータインサイト

【社長が事業をやめる時】 ~消えるクリーニング店、コスト高で途絶えた白い蒸気~

厚生労働省によると、全国のクリーニング店は2023年度で7万670店、2004年度以降の20年間で5割以上減少した。 この現実を突きつけられるようなクリーニング店の倒産を聞きつけ、現地へ向かった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年1-11月の「税金滞納」倒産は147件 資本金1千万円未満の小・零細企業が約6割

2025年11月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は10件(前年同月比9.0%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。1-11月累計は147件(前年同期比11.9%減)で、この10年間では2024年の167件に次ぐ2番目の高水準で推移している。

5

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

TOPへ