• TSRデータインサイト

飲食料品主要200社、10月の値上げは4,151品  リポビタンDやアポロチョコレートも値上げへ

~主要飲食料品メーカー200社の「価格改定・値上げ」調査~

 10月の飲食料品メーカー200社の値上げ商品は4,151品に及び、今年4月に次いで3番目に多いことがわかった。2023年の年間商品数は3万1,681品に拡大した。また、2024年分の値上げ公表も一部の企業で始まっており、値上げ商品の増加ペースは今春に比べ鈍化しているが、暮らしに欠かせない調味料や加工食品、菓子類などでも継続。出費の多い年末年始にかけての家計への影響が懸念される。

 東京商工リサーチ(TSR)は国内の主要飲食料品メーカー200社を対象に、2023年1月以降での価格改定(値上げ)される商品を調査した。200社のうち、2023年1月以降の出荷・納品分の値上げ(見込みを含む)を公表したのは166社(構成比83.0%)で、対象商品は3万1,681品に達する。長引く円安やエネルギー価格の高騰で、輸入食材を中心にコストが上昇しており、メーカー各社は価格転嫁を進めている。
 家計防衛への支援策として9月には、イオンや日本生活協同組合連合会(生協)など、小売大手でプライベートブランド(PB)商品の値下げを公表している。こうした飲食料品の値下げ機運はあるが、コスト高に歯止めがかからず、メーカーが追随する動きはみられない。
 2023年は飲食料品の値上げの幅(平均)が徐々に拡大し、食用油で24.5%、飲料・酒で13.6%、冷凍食品13.3%、加工食品13.1%と、日常生活に欠かせない商品で改定幅が大きい。年末年始の需要期を前に、消費者には買い控えや安価な代替食材購入の波が広がりそうだ。

※ 本調査は、国内の主な飲食料品メーカー200社を対象に、2023年1月1日以降出荷・納品分で値上げを表明した商品を開示資料等を基に集計した。本調査の実施は2023年8月に続き9回目。1回の値上げで複数商品の値上げが行われる場合、値上げ幅は平均値を集計した。値上げ、価格改定は、2023年9月25日公表分まで。




【値上げ理由別】原材料高騰がトップ

 2023年の値上げ対象の3万1,681品の理由別は、「原材料」が2万9,517品(構成比93.1%)でトップ。次いで「資源・燃料」が2万6,011品(同82.1%)、「物流」2万954品(同66.1%)と続く。

 原材料は、小麦売渡価格が10月に前期比11.1%引き下げられ、小麦製品の値上げは一服感が出ることが期待される。だが、だし原料やのりなどの不足感は継続している。
 さらに、エネルギー価格高騰の長期化により、物流コストも冬場にかけて不透明感を強め、値上げの大きな要因となりそうだ。


【分類別】「調味料」がトップで9,000品超、「鍋つゆ」類も値上げ

 2023年値上げ分の3万1,681品の分類別では、最多は調味料(9,201品、構成比29.0%)で、約3割を占めた。調味料は、醤油や味噌のほか、だし材料に欠かせない煮干しやカツオ節、サバ節などの価格が高騰している。だし醤油類や、冬場の「鍋つゆ」類も需要期を前に各社がすでに値上げを公表しており、食卓への影響が懸念される。
 次いで、加工食品(7,950品、構成比25.0%)は、ハム・ソーセージ類で大手・中堅サプライヤーが春と秋、2回の値上げを実施することで商品数を押し上げている。






【分類別の値上げ率】オリーブオイルの不足感で「食用油」が24.5%上昇

 分類別の値上げ率は、食用油が24.5%でトップ。全11品目中、唯一20%を超えた。特に、オリーブオイルとごま油は原料不足が深刻で、オリーブの主要産地である欧州では2022年、2023年の異常気象から在庫がひっ迫している。オリーブオイルの値上げ率は判明分で平均27.6%と食用油の改定幅を押し上げている。ごま油は、主要産地で作付け品目の変更が相次いだことで原料のごまに品薄感が強まっている。
 調査を開始した2023年1月は、値上げ率10%は3品目だったが、9月時点で10%未満だったのは健康食品(9.1%)、乳製品(8.4%)の2品目に減少した。また、原材料コストのほか、輸送コストやエネルギー価格も高騰しており、今後さらに上昇する可能性も高い。




 主要飲食料品メーカー200社が公表した2023年の出荷・納品分の価格改定は、3万1,681品に達した。2024年1月分もすでに190品が判明しており、原材料の不足感や物流コストの高騰を背景に飲食料品の価格見直しは継続している。
 10月の値上げ対象商品数は4,151品(47社)で、2月、4月に次いで今年3番目に多い。10月は「リポビタンD」(大正製薬)やチョコレートの「アポロ」(明治)などの人気商品に加え、酒税改正に伴い、第三のビールや日本酒(清酒)、焼酎などが揃って値上げする。また、ハム・ソーセージ類の値上げも集中。9月の日本ハムに続き、10月は伊藤ハム・米久、プリマハム、丸大ハムなど、大手各社で家庭用や業務用の価格がそろって改定される。
 小売大手では、相次ぐメーカー品の値上げを受けてPB商品の値下げを表明した。イオンは9月25日からサラダ油や一部の菓子パン、カップ麺など31商品を値下げし、生協は「コープ商品」150商品を11月までの期間限定で値下げする。購買点数の減少への危機感から、あくまでPB商品を対象に独自で実施するが、この値下げの動きがナショナルメーカーにまで波及するかは未知数だ。当面、コストの上昇による値上げ先行の流れは続きそうだ。







記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

モームリ運営会社、退職代行サービスの営業再開を発表

4月23日、退職代行サービス「モームリ」を運営する(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市)はモームリの再開を発表した。なお、アルバトロスの代表取締役には谷本慎二氏に代わって浜田優花氏が4月1日付で就任している。

2

  • TSRデータインサイト

「在留資格の厳格化」 企業の5%が廃業検討 ビザの厳格化で、外国人企業の半数近くが影響

「経営・管理」の在留資格の厳格化の影響が広がっている。2025年10月許可基準が見直しされ、従来の資本金要件が500万円から3,000万円以上へ6倍に引き上げられた。さらに、これまでなかった申請者又は常勤職員のいずれかが日本語能力を有するなどの要件も加わり関係企業は対応を迫られている

3

  • TSRデータインサイト

「退職代行」からの連絡、企業の3割取り合わず 有給や退職日の交渉などの通知を3割が経験

ことし2月、大手退職代行サービスの代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕された。4月に入り、退職代行の話題も出始めたが、弁護士や労働組合以外の「退職代行」業者から連絡があっても、3割(30.4%)の企業が非弁行為が含まれる可能性があり、取り合わないことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

ケフィア事業振興会、破産配当率は約1.1% ~ 「オーナー商法」破産から7年、約3万人に配当 ~

「オーナー商法」として社会問題化し、出資法違反で逮捕者も出した(株)ケフィア事業振興会(TSRコード:298080745)の破産手続きが終結に近づいている。破産管財人の資料によると、ケフィア事業振興会の配当率は約1.1%で、金額は11億円を超える配当になる見込みだ。

5

  • TSRデータインサイト

2026年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 金利引き上げ、窮境にある企業がより窮境に ~

東京商工リサーチ(TSR)・分析チームによる最新結果が出た際、思わず口をついた言葉だ。TSRが保有する財務データ(決算書)を基に経営が苦しいと思われる企業をゾンビ企業と定義して分析した。財務データが出揃った2024年度は、直近10年で最悪となった。

TOPへ