• TSRデータインサイト

2022年度の「上場企業」倒産(3月31日19時時現在)

 2022年度(4月‐3月)の上場企業の倒産は、8月に破産を申請した東証スタンダード上場のテラ(株)(東京)の1件にとどまった。上場企業の倒産は、2020年9月の(株)Nuts(東京、JASDAQ、破産)以来、1年11カ月ぶり。年度では2年ぶりに発生した。
 年度の負債総額では、2022年度は1億8,700万円で、30年間で倒産がなかった2016年度、19年度、21年度を除き、最少となった。


 上場企業の倒産は、高度経済成長からバブル景気に沸いた『昭和』は95件発生した(判明分)。『平成』は、バブル崩壊からリーマン・ショック、東日本大震災など未曽有の事態に見舞われ、1991年8月の(株)マルコー(東京、店頭、会社更生)から、2019年1月の(株)シベール(山形、JASDAQ、民事再生)まで合計234件が発生した。『令和』は、2020年5月のアパレル業界の名門(株)レナウン、同年9月の(株)Nuts(破産)、そしてテラ(株)の3件にとどまる。
 2022年度は原油高やロシアのウクライナ侵攻、エネルギー価格上昇、円安など、あらゆる物価や人件費の上昇が深刻化した。そうしたなか、経済活動はコロナ禍の停滞から活発化した。
 企業倒産はコロナ禍の支援効果が薄れ、増勢ピッチを強めている。そうしたなか、上場企業の倒産が低水準にとどまっているのは、事業再生ADRなど私的整理で経営再建を図るケースが増えているほか、金融機関や債券市場からの資金調達が円滑なことが背景にあるとみられる。


上場企業倒産 年度(4-3月推移)

上場区分の見直し後 初の倒産

 2022年度の上場企業の倒産は2020年9月以来、1年11カ月ぶりに1件発生した。2022年4月に市場区分が見直されて以降、テラ(株)が初の倒産となった。個別企業の負債額は30年間で、日本エルエスアイカード(株)(大証2、2005年7月、負債4,800万円)に次いで、2番目に小さかった。


上場企業倒産 年度(4-3月推移)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ