• TSRデータインサイト

在宅勤務、27.2%の企業が「取りやめた」~ 第22回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査 ~

 新型コロナウイルスの企業活動への影響について、「すでに収束した」と答えた企業が初めて15%を超えた。前回調査(4月)から4.1ポイント増加した。新規感染者の減少が続き、感染防止と経済再活性化への動きが進み、企業活動への影響も緩和されつつある。
 ただ、今年5月の売上高(単月)がコロナ前(2019年5月)を上回った(横這い含む)企業は38.5%にとどまった。特に、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」の26.4%、いわゆるアパレル関連の「織物・衣服・身の回り品小売業」の18.1%がコロナ前と比較して売上高が半分以下にとどまっている。業績の回復度合いは業種間で乖離が大きく、経済活動の波に乗り切れない業種を中心に休廃業や倒産、私的整理に向かうケースが出てきそうだ。
 大手企業の一部で在宅勤務の話題が出ているが、在宅勤務を「現在、実施している」企業は29.1%で、同一設問を設定した第18回調査(2021年10月)の37.0%から7.9ポイント下落した。「実施したが取りやめた」と回答した企業は27.2%で、第18回(20.7%)から大幅に増加した。コロナ禍で広がった在宅勤務だが、業績や労務管理、効率化などの評価が難しく、浸透しきれない実状を反映している。コロナ禍で隠れていた「人手不足」が顕在化するにつれ、労働環境の整備が遅れた企業は採用難に直結する恐れも出ている。

  •  ※本調査は6月1日~9日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答6,472社を集計分析した。
     前回(第21回)調査は、2022年4月20日公表(調査期間:2022年4月1日~11日)。
     資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

本調査結果の詳細はPDFファイルをご覧ください。

第22回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査[PDF:1.09MB]

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

2

  • TSRデータインサイト

堀正工業(株) ~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する「執念」 ~

東京には全国の地域金融機関が拠点を構えている。今回はそれら金融機関の担当者が対応に追われた。最大54行(社)の金融機関やリース会社から融資を受けていた老舗ベアリング商社の堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、東京都)が7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

インバウンド需要で「ホテル経営」が好調 8割のホテルが稼働率80%超、客室単価の最高が続出

コロナ禍の移動制限の解消と入国審査の緩和で、ホテル需要が急回復している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、コロナ禍前を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年4月の「円安」関連倒産 1件発生 発生は22カ月連続、円安の影響はさらに長引く可能性も

2024年4月の「円安」関連倒産は1件発生した。件数は、3カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2022年7月から22カ月連続で発生している。 3月19日、日本銀行はマイナス金利解除を決定したが、じりじりと円安が進み、4月29日の午前中に一瞬34年ぶりに1ドル=160円台に乗せた。

5

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

TOPへ