• TSRデータインサイト

国内海運大手3社 最終益2兆円超の最高益、コンテナ船の歴史的な好市況で

 北米や欧州の旺盛なコンテナ需要に支えられ、日本郵船、商船三井、川崎汽船の国内海運大手3社がそろって過去最高益を更新した。3社合計の2022年3月期連結の最終利益は、2兆3603億円を計上。前期の3379億円から約7倍の大幅な増益で、3社が共同出資するコンテナ船事業が利益を押し上げた。

 4月28日に商船三井、5月9日に日本郵船と川崎汽船が決算を発表し、3社の決算が出揃った。3社が出資するコンテナ船事業の「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」がコンテナ船需給の逼迫で短期運賃市況が高止まりし、ONE社の2022年3月期の税引後損益は16756百万USドル(1ドル130円換算で2兆1782億円)を計上。3社は、出資に応じた投資利益を計上したことが大きかった。

 大幅な増益で、3社ともに増配を発表。日本郵船の2022年3月期の年間配当金は1株当たり1450円(2021年3月期200円)で、配当金総額は2458億4500万円(同339億1100万円)。商船三井の年間配当金は1200円(同150円)で、配当金総額は1442億4000万円(同179億4300万円)。川崎汽船の年間配当金は追加配当含めて600円(同0円)、配当金総額は562億4400万円(同0円)で、3社の年間配当金の総額は4463億2900万円(同518億5400万円)に達する。

 2023年3月期は、3社とも減益を見込んでいる。コンテナ船の需給緩和の可能性やロシア・ウクライナ情勢などで、3社の最終利益計は1兆6800億円(前期比28.8%減)と減益を予想。ただ、堅調な荷動きが当面続く見通しで、高水準の利益を確保しそうだ。

海運

‌2兆円を超える最終益を計上した国内海運大手3社

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

3

  • TSRデータインサイト

コロナ禍で急拡大の「マッチングアプリ」市場 新規参入のテンポ鈍化、“安全“投資で差別化

20代、30代の若者を中心に、恋活や婚活、恋愛の真面目な出会いを求めるマッチングアプリの利用が広がっている。マッチングアプリの運営会社はコロナ禍を境に急増し、社数は6年間で5.6倍になった。2019年3月末の5社から、2025年3月末は28社と6年間で大幅に増えた。

4

  • TSRデータインサイト

丸住製紙(株)~ 倒産した地元の“名門”製紙会社の微妙な立ち位置 ~

2月28日に新聞用紙の国内4位の丸住製紙(株)(四国中央市)と関連2社が東京地裁に民事再生法の適用を申請してから2週間が経過した。負債総額は約590億円、債権者数は1,000名以上に及ぶ。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、地元の取引先や雇用への影響が懸念されている。

5

  • TSRデータインサイト

介護離職者 休業や休暇制度の未利用54.7% 規模で格差、「改正育児・介護休業法」の周知と理解が重要

団塊世代が75歳以上になり、介護離職問題が深刻さが増している。ことし4月、改正育児・介護休業法が施行されたが、事業規模で意識の違いが大きいことがわかった。

TOPへ