• TSRデータインサイト

東証1部のグレイステクノロジーが上場廃止へ 売上高の半分が架空など元幹部の不正が発覚し、株価急落

 マニュアル制作などを手掛けるグレイステクノロジー(株)(TSR企業コード:294306579、東証1部)は、期限の1月27日に四半期報告書の提出ができず上場廃止となる見込みとなったことを発表した。売上高の半分が架空だった疑いなど不正が発覚し、株価が急落していた。

 1月14日に公表した特別調査委員会の調査過程によると、元代表取締役や元取締役が関与する重大な不正が発覚。架空売上の計上や売上の前倒し、架空外注費の計上、偽装工作などが見つかったという。

 東証1部に鞍替えした2018年8月以前から架空売上を計上し、架空金額は期を追って上昇。暫定値ながら2016年3月期では129万円だった架空売上が、2021年3月期には売上高18億1225万円の半分以上の9億9428万円に達した。

 新たにリース案件にも不適切取引が見つかり、特別調査委員会の調査が続いていた。2022年3月期第2四半期報告書を期限の1月27日に提出できず、東証の上場廃止基準に抵触した。整理銘柄に指定後に上場廃止となる見込みだ。

 グレイステクノロジーは、国内初のマニュアル制作専門会社で、2016年12月にマザーズ、2018年8月に東証1部に上場するなど、高い注目を集めていた。しかし2021年11月、外部からの指摘から特別調査委員会の設置を発表。2020年11月に約4000円まで上昇していた株価は1月27日13時時点でストップ安の29円まで落ち込んでいる。

グレイステクノロジー

‌上場廃止の見込みとなったグレイステクノロジー(TSR撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「美容室」倒産が急増 1‐4月は最多の46件 人件費や美容資材の価格上昇が経営を直撃

コロナ禍を抜けたが、美容室の倒産が急増している。2024年1-4月「美容室」倒産は、累計46件(前年同期比48.3%増)に達した。同期間の比較では、2015年以降の10年間で、2018年と2019年の32件を抜いて最多を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

4

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

5

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

TOPへ