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「診療所」の倒産 コロナ禍の直撃で2倍増(2021年1-12月)

 コロナ禍の影響は、医療機関にも及んだ。2021年(1-12月)の一般診療所(以下、診療所)の倒産(負債1,000万円以上)は22件(前年比100.0%増)で、前年の2倍に急増した。特に、新型コロナ関連倒産は11件(構成比50.0%)と半数を占め、コロナ禍で診療所の経営も圧迫されたことがわかった。
 コロナ禍で医療崩壊が取り沙汰されたが、「感染拡大防止補助金」などの支援補助金は感染者を受け入れない医療機関にも支給された。だが、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令で、外出自粛が浸透し受診控えが広がった。オフィス街の診療所は、企業のテレワークの広がりで患者が減少。高齢患者を中心にした眼科、内科等も来院患者数の減少が痛手となった。こうした事態を背景に、補助金等で経営を支えていた診療所の倒産が目立った。
 コロナ禍前から小規模な診療所は、医師の高齢化に加え、大手病院や街中のクリニック等との競合で厳しい運営が続いていた。新たな変異株「オミクロン株」の出現で、新規感染者数が急増しており、今後の感染状況によってはさらに経営が悪化する診療所の増加も懸念される。

  • 本調査は、日本産業分類の「一般診療所」(20人未満の入院設備を有する、または入院設備の無い医療機関)の2021年(1-12月)の倒産を集計、分析した。

倒産件数が前年比倍増、過去30年間で3番目の水準

 2021年(1-12月)の診療所(病床数20未満)の倒産(負債1,000万円以上)は、22件(前年比100.0%増)で、前年から2倍増した。1989年以降では2009年(27件)、2019年(23件)に次ぎ、3番目に多かった。前年を上回ったのは2年ぶり。
 特に、コロナ禍が起因した倒産は11件(前年ゼロ)で、全体の半数(構成比50.0%)を占めた。長引くコロナ禍で外出自粛が広がって来院患者数が減少、白内障手術を手がける眼科、神経科などで倒産に追い込まれたケースが散見された。

一般診療所

病床数20以上の「病院」倒産 前年の半分以下に減少

 一方、20以上の病床を有する「病院」倒産は2件(前年比60.0%減)で、2年連続で前年を下回った。コロナ対策の各種補助金が功を奏したようだ。「診療所」にも補助金は支給されたが、もともと事業規模が小さく経営体力もぜい弱だったことから、「病院」と明暗を分けた。

原因別 不況型倒産が約6割

 原因別の最多は、「販売不振」の13件(前年比225.0%増)で、全体の約6割(構成比59.0%)を占めた。従来から患者の来院数が減少してたところに、コロナ禍が追い打ちをかけた診療所が大部分を占める。このほか、患者診療を担っていた院長死亡などを含む「その他(偶発的原因)」が3件、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が2件など。
 『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は15件で、診療所倒産の約7割(構成比68.1%)を占めた。

形態別 破産が約9割

 形態別では、「破産」が19件(前年比90.0%増、前年10件)で最も多かった。構成比は86.3%で、全体の約9割を占めた。
 一方、再建型の「民事再生法」は2件(前年1件)にとどまった。
 長引くコロナ禍で業績悪化に歯止めがかからなかったり、設備投資が重荷になった診療所が先行きの見通しが立たず、事業継続を断念し破産を選択しているケースが多い。

負債額別 1億円未満が過半数を占める

 負債額別は、1億円未満が12件(前年比100.0%増、前年6件)で、倒産に占める構成比は54.5%で過半数を占めた。内訳は、「1千万円以上5千万円未満」が8件(同300.0%増、同2件)、「5千万円以上1億円未満」が前年同数の4件だった。
 このほか、「1億円以上5億円未満」が9件(同350.0%増、同2件)で、全体の4割(構成比40.9%)を占めた。また、10億円以上の大型倒産は1件で、前年(2件)より1件減少した。

従業員数別 5人未満が半数

 従業員数別では、5人未満が11件(前年比57.1%増、前年7件)で、全体の半数(構成比50.0%)を占めたが、構成比は前年(63.6%)より13.6ポイント低下した。
 次いで、10人以上20人未満が5件(前年比400.0%増、前年1件)、5人以上10人未満が3件(前年ゼロ)で続く。
 また、50人以上200人未満が2件(前年1件)発生した。複数のクリニックを展開する企業も経営の行き詰まりをみせた。

地区別 東京、大阪など都市部に偏る傾向

 地区別では、関東14件(前年比180.0%増、前年5件)が6割(構成比63.6%)を占めた。そのうち、東京都7件(前年3件)が半数を占めた。  次いで、大阪府3件を含む近畿5件が続き、都市部への偏りを伺わせる。

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