• TSRデータインサイト

2020年「焼肉店」倒産状況

 新型コロナ感染拡大で飲食業の苦境が広がるが、「焼肉店」の倒産が急減している。2020年の「焼肉店」の倒産は14件(前年比33.3%減、前年21件)で、過去10年間で最少を記録した。コロナ禍で三密回避が求められているが、焼肉店の排煙装置による換気や“一人焼肉”などがプラスに働いたようだ。
 一般社団法人日本フードサービス協会の統計によると、2020年11月の焼肉店の売上高は前年同月比9.4%増と2カ月連続でプラスだった。対照的に、居酒屋は同41.2%減とマイナスが続く。
 無煙ロースター最大手のシンポ(株)(TSR企業コード:400386224、名古屋市、JASDAQ)によると、一定の条件下の焼肉店は、焼肉無煙ロースターや上引きフードの導入で空気を店外に排気し、約3分半で客席全体の空気を入れ替えることができるという。
 2020年に倒産した焼肉店14件のうち、すべてが個人企業を含む資本金1,000万円未満、従業員10人未満の小・零細規模だった。原因別では、10件(構成比71.4%)が販売不振で、「焼肉店」の新型コロナ関連倒産は3件(同21.4%)判明している。最初の緊急事態宣言の発令時に、外出自粛などで売上高が大きく落ち込み、事業継続が難しくなり倒産した焼肉店が目立った。
 緊急事態宣言の再発令で、再び時短営業などの要請で試練が続く。コロナ禍の収束が見えないなか、小・零細規模の焼肉店の体力には限界がある。時短協力金だけでなく、切れ目のない支援も必要だろう。

  • ※ 本調査は、日本産業分類(小分類)の「焼肉店」を抽出し、2011年から2020年までの倒産を集計、分析した。

焼肉0115


 2011年以来、過去10年で最多件数は2012年の35件。2011年には北陸で焼肉チェーンによる多数の食中毒患者が発生し、業界全体が沈んだ。その後、倒産は減少に転じ、2015年は18件まで減少した。だが、大手チェーン店の出店増など、業界内の競争が激化すると、2018年は24件まで増加した。2019年以降、一人焼肉など新たなブームも生まれ、減少した。
 コロナ禍で飲食業は“冬の時代”に突入している。2020年の飲食業の倒産は、過去最多の842件を記録し、新型コロナの影響が重くのし掛かる。だが、換気能力などコロナ対策が有利に作用した焼肉店は、11月は13.6%も前年同月から客足を伸ばし、倒産が減少している。
 再度の緊急事態宣言の発令で、夜8時以降の営業自粛を早い期間にどこまで挽回できるか不透明だ。今後は昼間のランチタイムの来店客だけでなく、デリバリー開拓も必要かもしれない。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ