• TSRデータインサイト

新型コロナで窮地の大塚家具、上場廃止猶予期間入りへ

 (株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、大塚久美子社長、JASDAQ)は6月19日、16カ月間の変則決算となる2020年4月期決算を発表した。4期連続で営業赤字と営業キャッシュフローがマイナスとなり、7月末の有価証券報告書の提出後、2年間の上場廃止猶予期間に入る見通しだ。

 店舗閉鎖や入店客数の減少、新型コロナウイルスの感染拡大による店舗休業や時短営業、外出自粛なども響いた。2020年4月期(16カ月の変則決算)の売上高は348億5,500万円(2018年12月期373億8,800万円)で、営業利益は▲76億1,100万円(同▲51億6,800万円)、当期純利益は▲77億1,800万円(同▲32億4,000万円)と、赤字幅が拡大した。前期より4カ月間長い決算だったが、1-4月が新型コロナの影響を強く受けた。

 大塚家具は、昨年12月の(株)ヤマダ電機(TSR企業コード:270114270、三嶋恒夫社長、東証1部)との資本提携し、ヤマダ電機の連結子会社となった。大塚家具の家具などをヤマダ電機の店舗で販売し、今年3月からはヤマダ電機から仕入れた家電を大塚家具の店舗で販売をスタートするなど、ヤマダ電機とのコラボを加速している。新CMや折込チラシも開始し、巻き返しを目指す。

 関係者によると、大塚久美子社長は2021年4月期も社長続投の方向という。新型コロナの影響で2021年4月期の業績予想の開示を見送った。4期連続の営業赤字と営業キャッシュフローのマイナスで、2年間の上場廃止猶予期間に入り、営業黒字が必達目標となっており、どのような手を打つのか注目される。

大塚久美子社長(2019年12月撮影)

‌大塚久美子社長(2019年12月撮影) 


人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コメ農家の倒産・休廃業が過去最多 ~ コメ作りの「あきらめ」、さらに増加も ~

コメ価格の高騰が止まらない。農水省が18日に発表した3月の米価格(相対取引価格)は2万5,876円で、1年前の約2倍の高値だ。 政府は備蓄米を放出したが、小売業者にはなかなか届かず、韓国産やアメリカ産の輸入拡大も検討されている。

2

  • TSRデータインサイト

パン屋の倒産が急減、コメ高騰でパンに注目 ~ 高級パンブームや小麦高騰の影響も一巡 ~

コメ価格の高騰が食卓と倒産に変化を及ぼしている。高級パンブームが崩壊したことに加え、小麦粉の価格上昇でパン屋さんの倒産が増加していたが、ここにきて急激に減少していることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

2025年4月「人手不足」倒産 最多の36件 人材の流動化が進み、「求人難」「従業員退職」が急増

2025年4月の「人手不足」が一因の倒産は、36件(前年同月比44.0%増)で、4月としては2013年以降では過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

パナソニックHDの早期希望退職募集 2012年以降の国内募集で最大規模、13年ぶり募集5,000人台

パナソニックホールディングス(株)(TSRコード:570191092)は5月9日、国内外で1万人規模の人員削減を発表した。国内は5,000人規模の見込み。

5

  • TSRデータインサイト

「人材派遣業」倒産、1-3月は過去最多の29件 ~ 「円高」、「トランプ関税」でさらに増加も ~

人手不足で人材の獲得競争が厳しさを増すなか、人材派遣会社(労働者派遣業)の倒産が急増している。

TOPへ