「早期・希望退職」募集35社、昨年1年に並ぶ
6月9日までに上場企業の「早期・希望退職」の募集が35社に達し、2019年1年間(35社)に並んだ。6月9日までに35社を超えたのは、2010年以来、10年ぶり。2010年は最終的に85社が募集を公表した。
35社の募集人数は、判明分で合計6417人。人数が最も多いのは、(株)レオパレス21(TSR企業コード:291293581、東証1部)の1000人。次いで、(株)ファミリーマート(TSR企業コード:291787630、東証・名証1部)の800人(応募人数1025人)、(株)ノーリツの600人(TSR企業コード: 660039770、同789人)の順
業種別では、昨年10月の消費増税、暖冬、新型コロナウイルスの三重苦に見舞われたアパレル関連が、オンワード350人、レナウン300人、片倉工業100人など5社(募集人員合計770人)で最多。
次いで、百貨店・コンビニ等の小売業(同1060人)と輸送用機器(同850人)が各4社、電気機器(同140人)と精密機器(同220人)、旅行業・広告業などサービス業(同200人)が各3社で並んだ。
2019年の「早期・希望退職」募集は、業績堅調な業界大手が将来の市場環境を見すえた “先行型”の実施が目立った。2020年は年初まで先行型の募集が多かったものの、2月中旬以降は再び赤字企業の“従来型”募集が集中している。
2019年6月までに「早期・希望退職」募集を実施した17社のうち、直近決算の赤字は5社で、全体の29.4%と3割を切っていた。2020年6月までに実施した35社のうち、赤字企業(17社)は48.5%と半数に達する。
例年、下半期にかけて業績不振の企業が「早期・希望退職」を募集する傾向が強い。2020年はこうした傾向に加え、新型コロナの影響が長引くことも懸念される。アパレル関連や小売など個人消費関連の業種、海外需要が低迷している製造業などを中心に、今後の展開が注目される。