• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連倒産状況【6月2日17:00 現在】

 6月2日17時現在の「新型コロナ」関連の経営破たんは、全国で合計198件(倒産144件、弁護士一任・準備中54件)で、200件を前に踏みとどまっている。2月2件、3月23件だった経営破たんは4月に84件と急増した。5月も83件発生したが、6月1日は5件、2日は1件にとどまった。
 都道府県別では、42都道府県で発生。空白県は福井、和歌山、鳥取、高知、長崎の5県。
 件数は、東京都が42件(倒産37件、準備中5件)で突出。以下、大阪府17件(同12件、同5件)、北海道16件(同14件、同2件)、静岡県11件、兵庫県10件の順。
 業種別は、インバウンド需要の消失、国内旅行・出張の自粛でキャンセルが相次いだ宿泊業が33件(同25件、同8件)、外出自粛で来店客の減少や臨時休業、時短営業に追い込まれた飲食業が31件(同19件、同12件)で、この2業種が拮抗している。次いで、百貨店や小売店の臨時休業が影響したアパレル関連が24件(同18件、同6件)で、個人消費関連の業種が上位に並ぶ。
 また、休校やイベント休止などが影響した食品製造業(16件)、自動車メーカーの操業休止が影響した下請(3件)でも、経営破たんが起きている。
 経営破たんの企業は、もともと人手不足や消費増税、暖冬で資金繰りが苦しかったところに、新型コロナで業績が急激に悪化し、行き詰まったケースが多い。
 集計対象外だが、負債1,000万円未満の倒産は、2月から6月2日までに3件にとどまっている。ただ、休業中の企業・商店が制度融資や支援策などを活用せず、そのまま廃業や倒産に至る可能性は高いとみられる。経営破たんの数字以上に水面下での動きに注目していくことが必要だ。
 6月1日、各地で休業要請が大幅に緩和された。しかし、新型コロナ感染拡大で事業活動が制限され、毀損した売上の回復には時間を要するだろう。さらに、事業再開には仕入資金や人件費などの立ち上げ資金が欠かせない。手元資金が乏しい小・零細企業・商店は、本格的な営業に至るには一時的な立替資金も発生する。政府の各種資金繰り支援策や助成金だけでなく、一過性でない民間金融機関の返済猶予や経営指導など、官民一体の長期的な支援が求められる。

 ※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
 ※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものを集計している。 


日本地図0602

6月2日 1件発生、2月からの合計198件

 新型コロナ関連の経営破たんは、6月は1日に5件判明したが、2日は1件にとどまった。2月から6月2日までの合計は198件に達し、200件を目前に何とか踏みとどまっている。
 2日の主な倒産事例:自動車用部品を主体としたゴム成型品メーカーの(株)光隆(愛知県)は、自動車メーカーの操業休止から受注が減少し、資金繰りが限界に達して6月1日、破産を申請した。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人材派遣業」倒産、1-3月は過去最多の29件 ~ 「円高」、「トランプ関税」でさらに増加も ~

人手不足で人材の獲得競争が厳しさを増すなか、人材派遣会社(労働者派遣業)の倒産が急増している。

2

  • TSRデータインサイト

コメ農家の倒産・休廃業が過去最多 ~ コメ作りの「あきらめ」、さらに増加も ~

コメ価格の高騰が止まらない。農水省が18日に発表した3月の米価格(相対取引価格)は2万5,876円で、1年前の約2倍の高値だ。 政府は備蓄米を放出したが、小売業者にはなかなか届かず、韓国産やアメリカ産の輸入拡大も検討されている。

3

  • TSRデータインサイト

大型連休は「博物館・美術館」がオススメ? ~ 物価高でも魅力的な入館料が追い風、業績も回復 ~

コロナ禍で打撃を受けた博物館・美術館が物価高のなかで健闘している。体験型やデジタル対応など新しい取り組みや、比較的安価な入館料で集客力を高めている。

4

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ