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アパレル名門のレナウン、2期連続の大幅赤字でGC注記

 アパレル大手の(株)レナウン(TSR企業コード:295833440、東証1部)は2月25日、2019年12月期決算(10カ月変則)を発表した。変則決算のため単純比較できないが、売上高は502億6,200万円(2019年2月期636億6,400万円)、営業利益は▲79億9,900万円(同▲25億7,900万円)で2期連続の赤字を計上。決算短信に「継続企業の前提に関する注記」(GC注記)を記載した。また、取引先に対する売掛金の回収難により、同期に53億2,400万円の貸倒引当金を計上したことで、取引先の関心を集めている。

 レナウンは2004年に紳士アパレル大手のダーバンと経営統合した。さらに、2010年以降は中国の繊維大手の山東如意科技集団有限公司(以下、山東社)が第三者割当による新株発行で筆頭株主となり、山東如意グループ入りした。「ダーバン」や「アクアスキュータム」などのブランドで知られるが、2019年12月期は消費税増税、暖冬などで重衣料が苦戦。主要販路である百貨店向け販売も低調で、厳しい経営が続いた。


香港の「兄弟会社」に大口の回収難が発生

 また同期決算で、山東如意グループの恒成国際発展有限公司(香港、以下恒成社)との取引により売掛金の回収延滞が発生。貸倒引当金繰入額53億2,400万円を計上したことを明らかにした。
恒成社は山東社の100%子会社で、レナウンとはいわば兄弟会社の位置付けとなる。2019年2月期のレナウンの有価証券報告書によると、従来レナウンは恒成社から原料を仕入れ、外部の第三者へ売却していたが、同期中に取引形態を見直し、外部からレナウンが原料を仕入れ、恒成社へ販売する取引に変更。このため、同期末時点の恒成社向けの売掛金残高は35億1,800万円だった。
ところが、2019年12月末時点で恒成社から、期限までに売掛金の支払いがされない状況が続いたという。レナウンは東京商工リサーチの取材に対し、「取引内容は羊毛や綿糸などを恒成社向けに販売するもの。契約上のトラブルや取引に対する認識の齟齬があるわけではなく、米中貿易摩擦の影響などから(先方の)資金繰りが厳しいため支払いが難しかった」(担当者)とコメントし、引き続き支払いの催促を行うとしている。また、当該取引には親会社の山東社が連帯債務者となっており、「山東社からの補償が最終的には得られると考えている」(同)としているが、現時点では債務保証は履行されておらず、山東社に対しても債務の履行交渉を行っていくとしている。


レナウンの自己資本比率は47.4%(2019年12月末)を維持しているものの、現預金は2019年2月(90億8,300万円)から53億7,700万円と大きく目減りした。本業の経営環境が振るわないなか、グループ企業との思わぬトラブルに遭遇して赤字額が拡大。「引き続き親会社との資本関係は変わらない」(担当者)としているが、売掛金回収も流動的で、名門アパレルの今後に注目が集まっている。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年3月2日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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