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「百貨店離れ」止まらず 影響はアパレルブランドにも

 記録的な暖冬が続くが冬物セールは終盤に入り、アパレル各社は決算前の売り尽くしに期待をかけている。だが、インターネット通販などのEC(電子商取引)購入が定着し、消費構造が変化する中で、とくに百貨店を主戦場とするアパレルブランドが苦境に立たされている。
 「百貨店向けアパレルブランド」主要上場12社(以下、百貨店ブランド)は、直近の本決算で12社中8社の売上が前期を割り込み、利益も4社が減益、5社が最終赤字と苦戦が続いている。
 中~高価格帯の商品構成が中心の百貨店ブランドは、ECの台頭に加え、オフィスカジュアルの定着も追い打ちをかけている。さらに、消費者の節約志向が進み、低価格帯との競合も激化しているほか、従来顧客の高齢化も重なり厳しい局面に追い込まれている。

  • 本調査は、国内の証券取引所に株式上場し、百貨店向けアパレルを展開する12社が対象。直近決算(2018年度)は2018年12月から2019年3月までに迎えた本決算を指す。

百貨店向けブランドの売上高は減少傾向

 主要上場12社の売上高合計(連結ベース)は、2014年度は1兆1,376億300万円だったが、2017年度は9,731億9,200万円と5年間で14.4%落ち込んだ。2018年度は、売上上位のワールド(前期比1.6%増、40億円増)やTSIホールディングス(TSIHD、同6.1%増、95億円増)が増収に転じ、9,756億7,100万円(前年度比0.2%増)と減少に歯止めがかかった。しかし、ワールド、TSIHDの2社はそれぞれ百貨店以外でのセグメント収益による増収が寄与した面が大きい。
 主要12社のうち、「23区」「五大陸」「Jプレス」などのブランドを展開するオンワードHDは4期連続、「ダーバン」「アクアスキュータム」などを展開するレナウンは6期、「ポール・スチュアート」「エポカ」などの三陽商会は4期、「DAKS」などの三共生興は5期、「ピエール・カルダン」のライセンスなどを展開するラピーヌは5期連続の減収と苦戦が鮮明になっている。
 三陽商会は、2015年春夏シーズンで英国老舗ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了し、2016年12月期の売上高は前期比30.6%減の676億1,100万円まで落ち込んだ。「バーバリー」終了後は、同じく英国高級ブランド「マッキントッシュ」の各ラインを展開しているが、回復には届かず減収が続いている。
 2019年度本決算の予想は、2018年度に増収のワールド、TSIHD、ルックHDに加え、オンワードHD、三陽商会(14カ月決算)、キング、ラピーヌの7社が増収を見込んでいる。ただ、地方や郊外百貨店の閉店、2019年10月の消費増税などの懸念材料も重なり、先行きはまだ流動的な部分を残している。

上場アパレル12社の売上高と全国百貨店売上高推移

地方百貨店の店舗減による実店舗の減少も懸念

 地方百貨店を中心に、閉店の動きが加速している。2019年は棒二森屋、大沼米沢店、大和高岡店など地方百貨店、三越伊勢丹の伊勢丹相模原、伊勢丹府中店も長年の歴史に幕を下ろした。
 2020年は3月に新潟三越が閉店を予定し、8月にはそごう・西武が西武岡崎店、大津店の2店の閉店を発表したほか、そごう西神店、徳島店の閉鎖も予定されている。なかでも徳島県は、国内で唯一の“百貨店ゼロ”県になる見込みだ。
 近年は、百貨店もテナント誘致に苦戦し、大型家電量販店や家具店がテナントで入るケースが目立つ。相次ぐ閉店の影響は、テナントのアパレル各社にも及び、撤退や移転を余儀なくされている。このため、百貨店ブランドの中には地方からの撤退や店舗集約を図る動きもある。


 日本百貨店協会によると、2019年10月の消費税引き上げ後の2019年10月、11月の百貨店売上高は2カ月連続で前年同月を5%以上割り込んだ。商品別では、婦人服・用品が10月は前年同月比20.5%減、11月は同8.1%減だった。紳士服・用品は、10月が同22.0%減、11月は同9.2%減といずれも大幅に減少している。今シーズンは消費増税に加え、長引く暖冬が影響し、先行きの消費マインドは不透明感が強まっている。
 百貨店ブランド各社は、既存ブランドの顧客の高齢化や、低価格帯商品との競合で、新規顧客の開拓が頭打ちとなるなか、百貨店向けから主力事業をシフトする動きもみられる。
 TSIHDは、2000年代以降、前身会社(東京スタイル、サンエー・インターナショナル)で若者に人気のセレクトショップや人気ストリートブランドなど若年層からの支持が高いアパレル企業を次々と子会社化し、規模を拡大している。2018年には、カジュアルウェア小売を全国のファッションビルや路面店で展開する(株)上野商会(TSR企業コード:290855004、渋谷区)を約150億円で買収し、既存の百貨店向けブランドと並行して若者に強いカジュアル向けに力を注いでいる。
 ルックHDは、主力ブランドの「アーペーセー」や「イルビゾンテ」などを百貨店だけでなく、路面店やファッションビルへの出店強化で若者に訴求を図っている。
 また、ワールドは、2018年にブランド古着チェーン古参の「ラグタグ」運営会社をグループ化し、2019年にはブランドバッグのシェアサービスを展開する国内企業も買収。さらに、日本のアパレルブランド商品を海外の消費者へ販売するECサイトを立ち上げ、プラットフォーム事業を急拡大させている。
 これまで事業の柱として依存していた百貨店の凋落で、安定して稼いできた“穴”をどのように埋めるのか。百貨店ブランドの生き残りをかけた試行錯誤は始まったばかりだ。

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