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綿密に準備されたT.F.Kの民事再生

 旧T.F.K(現・AIコーポレーション)が12月5日、東京地裁に負債196億円を抱えて民事再生法の適用を申請した。負債額では、今年6番目の大型倒産だ。生損保各社の商品を取り扱い急成長していた同社の周辺が騒がしくなったのは、2018年末~2019年初めだった。

 各地の小さな保険代理店を傘下に収める手法で業績を拡大し、銀行から次々と資金調達した黒川哲美社長(当時)の手腕は注目を集めた。だが、2019年3月に一部月刊誌で不適切な会計処理などが報じられると、それまでの成長神話が一気にしぼんだ。バンクミーティングを開催、金融機関に返済猶予を要請したことが漏れ伝わり、経営危機が表面化した。
 黒川社長は、関連会社などを通じてハワイでの不動産取得や本業外での派手な振る舞いでも知られ、それを可能にした資金源も疑惑を深めていた。その後は、法的手続に至るまで金融機関やリース会社、保険会社など、多岐にわたるステークホルダーとの間で「保険契約への影響を避けるため必死の調整が続いた」(関係者)という。不適切なリース処理も疑われるなど調整は長引いたが、綿密な資産査定を経て、ようやく法的手続きに漕ぎ着けた。ただ、2019年10月17日、保険代理店事業の分割公告を目的に千葉日報に掲載された旧T.F.Kの決算公告は1年前の2018年5月期の貸借対照表の要旨だった。

 今後は関係会社の処理に焦点が移る。関係会社は、(株)FORGED(TSR企業コード: 012354597、札幌市)、(株)OverTake(TSR企業コード: 013476823、福岡市)、(株)KTレーシング(TSR企業コード: 017390176、港区)、(株)ダウンフォース(TSR企業コード: 300542542、港区)、(株)シルバーストン(TSR企業コード: 872526887、福岡市)、(株)インパクト(TSR企業コード: 012656763、港区)など、数多い。関係者は関連会社の扱いについて「今回の申請とは切り離して考えている」と話すが、どう転ぶかまだ流動的だ。
 民事再生法の適用を申請した12月5日。午前9時過ぎ、旧T.F.K.のホームページに突然、「事業承継及び今後に関するご案内」がアップされた。「弊社は令和元年 12 月 5 日をもって、再生手続開始の申立てを行っております。(中略)当該申立によるE保険への影響は一切ございません」と書かれていたが、実はこの段階では法的手続を申請していなかった。
 このフライング開示は、すぐホームページから削除されたが、綿密な事前調整と一般契約者への動揺を最小限に抑えたい関係者の想いを垣間見せたシーンでもあった。

 今後、光通信グループ傘下で再起を図る。直接のスポンサーとなるNFCホールディングスは、「保険見直し本舗」や「みつばちほけん」などを展開している。NFCホールディングスの担当者は東京商工リサーチの取材に対し、「旧T.F.Kの契約は損保がメイン、我々は生保がメインで相互補完の関係になる。E保険のブランドは維持する」と話す。
 旧T.F.Kの保険事業を承継したE保険プランニングとのシナジーはどう発揮されるのか。とりあえず最悪の事態を避けた格好だが、当分は業界の熱い目が注がれることになる。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年12月6日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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