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2018年度「東証1部・2部上場企業 不動産売却」調査

 2018年度(2018年4月~2019年3月)に国内不動産を売却した東証1部、2部上場企業は58社で、1993年度の調査開始以来で2番目に少なかった。売却不動産のうち、土地面積1万平方メートル以上は12社(前年度16社)で前年度より大型物件が減少、業種別では卸売業が最多の7社だった。
遊休地や駐車場、賃貸用不動産などの売却に対し、工場や支店、事務所など事業に直接影響するコア資産の売却が35社と6割を超え、上場企業は既存事業の見直しを進めているようだ。

  • ※本調査は、東京証券取引所1部、2部上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2018年度(2018年4月~2019年3月)に国内不動産(固定資産)の売却契約、または引渡しを実施した企業を調査した(各譲渡価額、譲渡損益は見込み額を含む)。
  • ※資料は『会社情報に関する適時開示資料』(2019年5月13日公表分まで)に基づく。東証の上場企業に固定資産売却の適時開示が義務付けられているのは、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産額の30%に相当する額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益、または当期純利益の30%に相当する額以上のいずれかに該当する場合としている。

不動産売却は58社、調査開始以来で2番目の低水準

 会社情報の適時開示ベースで、2018年度に国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施した東証1部、2部上場企業数は、58社(前年度66社)だった。2011年度(50社)以来、7年ぶりに60社を下回り、調査を開始した1993年度以降では2番目に少ない社数になった。
この要因として、(1)上場企業の業績が軒並み好調だったことに加え、低金利での資金調達環境が続き所有物件の売却動機が弱かった。(2)リストラの一巡で、土地売却など新規の物件供給が減少した。(3)買主サイドも、新規供給の少ない中での不動産価格の高止まりや過熱感が意識され、取引を慎重にした、ことなどがあげられる。

東証1部・2部上場企業 不動産売却企業数の推移

公表売却土地総面積、公表50社で76万平方メートル

 2018年度の売却土地総面積は、内容を公表した50社合計で76万1,411平方メートルだった。単純比較で前年度(公表55社合計:61万4,900平方メートル)より23.8%増やしたが、売却土地面積が1万平方メートル以上は12社(前年度16社)で、前年度より大型物件は減少した。

公表売却土地面積 トップは三菱重工業

 公表売却土地面積トップは、タービン、防衛、造船など総合重機の三菱重工業の32万9,993平方メートルだった。財務強化を図るため、休止中の横浜製作所金沢工場の土地を売却した。
次いで、2位は研究開発や生産を担う東京都八王子市と日野市の事業所底地を経営資源の有効活用などのため売却した複合機中堅のコニカミノルタの13万8,296平方メートル。なお、売却後も賃貸借契約により継続使用する。3位は、傘下に橋梁やコンクリート建設会社を抱える持株会社のOSJBホールディングスで6万3,432平方メートル。鋼構造物事業の構造改革に基づくエンジニアリング化の推進などのため、連結子会社が使用していた播磨工場を売却した。

譲渡価額総額、公表16社合計で481億円

 譲渡価額の総額は、公表した16社合計で481億5,600万円(見込み額を含む)だった。
トップは、事業の競争力強化と首都圏の拠点再編を進めるため東京都・千代田区の土地建物を売却したシステムインテグレーション大手のアイネスで、譲渡価額は125億円。次いで、不動産業のアーバンライフ(公表後、上場廃止)の70億円。宴会場、レストラン経営の東京會舘の67億5,100万円と続く。譲渡価額100億円以上は1社(前年度3社)にとどまった。

譲渡損益、公表55社合計で1,537億円

 譲渡損益の総額は、公表した55社合計で1,537億2,100万円(見込み額を含む)だった。内訳は、譲渡益計上が52社(前年度56社)で合計1,544億6,100万円(前年度2,001億7,000万円)。
譲渡益トップは、三菱重工業の300億円。次いで、コニカミノルタ201億円、クレハ92億円、三井E&Sホールディングス82億5,500万円と続く。これに対し、譲渡損を公表したのは3社(前年度2社)で、譲渡損の合計は7億4,000万円(前年度2億1,100万円)だった。

業種別、最多は卸売業の7社

 業種別では、最多が卸売業の7社。次いで機械と電気機器が各6社、小売業5社と続く。
業種別の売却土地面積は、機械が35万1,684平方メートルでトップ。次いで、電気機器が15万3,072平方メートル、建設業が6万8,068平方メートル、鉄鋼が3万6,363平方メートル、輸送用機器が2万7,437平方メートルの順だった。

 好業績を背景に2018年度の上場企業の不動産売却は、調査を開始以降で2番目に少ない58社にとどまった。ただ、この中には2018年9月期決算で本業不振などを理由に「継続企業の前提に関する重要事象」を記載した6社が含まれている。業績不振を補うための「リストラ売却」が窺え、経営環境が厳しい上場企業の「窮余の一策」という部分も浮かび上がってくる。
公示地価は、地方の中核都市が伸び、全体では4年連続で上昇した。上場企業は、既存事業の見直しで工場や事務所などの集約を進める企業も少なくない。今後は地価上昇を睨みながら、経営資源の有効活用、資産の効率性向上として不動産売却が増加に転じる可能性を残している。

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