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10連休が目前 不測の事態を避けるため用意は周到に

 4月27日から5月6日まで、今年の大型連休は初の10連休。金融機関の店舗や窓口は多くが休業し、改元の月末月初は混乱も予想される。
金融庁は、必要な現金準備や連休前後の引き落としに備えた口座残高の確認を呼びかけている。また、金融庁は、金融機関に対して中小企業の大型連休に向けた資金計画の必要性を周知徹底し、決済期日の変更に伴う資金需要には原則応じることを要請している。
初めて経験する大型10連休だけに、予想できない資金が必要になる可能性もある。「令和」の幕開けは、企業も周到な準備が必要になっている。

政府の大型連休への対応

関係省庁等連絡会議などによると、金融機関のATMは原則、通常の土日・祝日と同じように稼動する。ただ、現金不足に陥らないようATMの現金残高を24時間監視し、アラーム検知だけでなく警備会社の人員、現金量も例年の長期連休より1日当たり3割増やす。
また、中小企業の資金繰りに支障がないよう、金融機関は電話や訪問などで注意喚起を徹底する。金融庁は、民間金融機関に10連休の資金需要を原則、応じるよう要請。借入金の返済、仕入代金の支払いなど、10連休で期日が変更する場合に想定される中小企業の一時的な資金需要への支援を求めている。
日本政策金融公庫は、通常の融資枠とは別枠で融資取引を準備する。
国内の株式市場も10連休となるため、連休前は市場取引が手控えられる可能性がある。流動性の薄い相場を狙ったマーケットの混乱を防ぐため、市場監視を行う取引所の人員を最大倍増し、監視を強めていく。
なお、大型連休中も宅配事業者は通常通り、営業を予定している。郵便は4月27日(土)だけでなく、特例で5月2日(木)も普通郵便等を配達。速達や書留、ゆうパック等は毎日配達する。

全銀協も10連休中の留意点を呼びかけ

全国銀行協会は、10連休の銀行取引の留意点を公表した。
銀行借入の返済日が10連休中に設定されている場合、銀行との契約により前営業日(4月26日)、または翌営業日(5月7日)扱いとなる。返済が遅れないよう再確認が必要だ。
「平成」表記の手形や小切手は、改元後(5月1日以降)も利用が可能。改元後に使用する場合は、「平成」を新元号に修正して使用しても問題ない。また、「平成」のままだったり、修正時の訂正印がなくても、金融機関は新元号によるものと読み替えて、不渡り措置にはしない。
改元前に、改元日以降の支払期日を記入する場合、「平成」表記で記載しても問題ない。また、新元号発表から改元までの間(4月1日から4月30日)に手形を振り出した場合、支払期日は「平成」でも、「令和」に修正してもどちらも通用する。
手形や小切手の新元号の表示は、令和「元」年、令和「1」年のどちらでも使用できる。
改元に伴う大型連休を心配なく過ごすには、企業も事前の準備が肝心だ。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年4月23日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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