ガイアファンディング すべてのファンドで利払い遅延
一部のソーシャルレンディングで延滞が続いているmaneoマーケット(株)(TSR企業コード:297202863、東京都)。同社が手掛ける別のファンドでも利払いの遅延が11月22日、明らかになった。
また、同26日午後、maneoマーケットが募集していたファンドが「成立」から「融資実行キャンセル」に変更された。
今回、すべてのファンドで利払いの遅延が発覚したのは、海外向け不動産ファンドを展開するガイアファンディング(株)(TSR企業コード:015391450、東京都)。maneoマーケットが運営するサイトで投資家を募集し、営業者はガイアファンディングになっていた。ところが、ガイアファンディングのファンドのすべてで利払いが遅延、一部元利金も未回収となった。ガイアファンディングの延滞しているファンド残高は41億6,512万円。
ガイアファンディングは11月26日午前、東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「担当が不在」と回答。同日午後、maneoマーケットは「ガイアファンディングとの連絡は継続中。同社を通じて関係者への連絡を行っている」とした上で、「現時点では当社による会見等の予定はございません」とコメントした。
maneoマーケットは、今年7月にファンドの管理態勢に問題があるとして金融庁から業務改善命令を受けている。ソーシャルレンディング最大手の相次ぐ不祥事は、営業者の管理や投資家保護、情報開示などのあり方に一石を投じている。
ソーシャルレンディングの責任の不透明さ
11月22日、ガイアファンディングはホームページですべてのファンドの利払いの遅延を公表した。maneoマーケットは、ガイアファンディングのファンドスキームについて、「現地の最終貸付先(計14社)への貸付けまでに3社(ガイアファンディングの海外子会社、海外関連会社、米国関連会社の3社)の法人を経由している。今回の利払いの遅延が最終貸付先からの返済の遅延によるものなのか、または、3社のいずれかの法人に資金が滞留しているのか継続して確認している状況」と公表し、事態を掌握できていない状況を露呈させている。
一方、ガイアファンディングは「ローンファンドは、ガイアファンディングの100%子会社GaiafundingCaymanLimited(本借入人)に対し、本借入人が米国の SPC に行う貸付けのための資金の貸付けを実施する」と説明している。これはmaneoマーケットが説明する「最終貸付人まで3社の法人を経由」と矛盾する。利払い遅延の本当の原因は何か。責任の所在が曖昧なファンドを運営するmaneoマーケットの管理態勢が問われそうだ。
運営するすべてのファンドで利払い遅延を公表後も、ガイアファンディングはホームページで「3周年記念ローンファンド14号」を11月26日9時49分まで募集していた。利払いを延滞しながら別のファンドの投資家を募集する事態を、maneoマーケットとガイアファンディングはどう説明するのか。
TSRの問い合せ後の午後2時過ぎ、同ファンドは「成立」から「融資実行キャンセル」に変更された。
最近、maneoマーケット主催のセミナーに参加した投資家のひとりがTSRの取材に応じた。セミナーでは「(主催した)maneoマーケットの社長ではなく、maneoの社長がファンドを説明した」と、怪訝な表情で語った。
急拡大の影で、立て続けに利払い遅延などいびつさが見え始めたソーシャルレンディング。「ギャンブル」や「投機」でなく、「投資」であるためには情報開示は不可欠だ。
※11月26日13時40分にアップした記事に内容を追加しました。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年11月27日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)