追跡第7弾!ケフィアの元関係者が「自転車操業が続いていた」と証言
昨年11月ごろから会員と支払トラブルが続く(株)ケフィア事業振興会(TSR企業コード:298080745、東京都、以下ケフィア)の元関係者が匿名を条件に東京商工リサーチ(TSR)の取材に応じ、「自転車操業が続いていた」と証言した。
ケフィアは「柿」などを会員に販売し、半年後にケフィアが商品を買い戻す「オーナー制度」の配当や元本の会員への支払いが滞り、問題となっている。
消費者問題に詳しい弁護士が7月に結成したケフィアグループ被害対策弁護団(団長:紀藤正樹弁護士、電話:03-3261-3037)は9月2日、午前10時と午後1時30分の2回、被害者向けの説明会を開催する。会場は、東京都千代田区永田町2-16-2星陵会館。事前予約は不要で、被害対策弁護団に相談していない被害者も契約書などを持参すれば参加可能。
被害対策弁護団の中森麻由子弁護士(リンク総合法律事務所)によると、「相談件数は約1,100件、申告被害金額は約75億円を超えている。相談窓口は複数回線を用意しているが、すべて埋まってしまうこともある」と問題の広がりを語る。
「太陽光以外、大半の新事業が失敗」
ケフィアの元関係者は、「支払い遅れが表面化してからケフィア本社を訪れる会員が増えた。会員と社員が1階で鉢合わせしないよう社員は(ビル外の)非常階段を使うよう指示があった」と社内事情を明らかにした。
支払いが遅れている原因については、「太陽光発電はうまくいっていたが、地熱発電やバイオマス発電、大学との共同事業、スリランカやベトナムの海外での事業など、ほとんどの新規事業が失敗した」と説明する。
さらに、「会員に対する支払いが遅れ、新たな会員の申込金を支払いに回す自転車操業が続いていた。会社の誰もが高配当を支払い続けることができないと思っていただろう」と社内の雰囲気を語った。そして、「支払いが遅れたあとも会員を信頼させるため、(ケフィアは)今年の春、複数の貸切公演に会員を招待していた」という。
最後に元関係者は、「会員に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ。経営陣は会見し説明すべきだ」と怒りを含ませた。
ケフィアはTSRの取材に6月、「社長が今後の取材を拒否する」と回答して以降、取材に応じていない。
ある会員は、「支払遅延のハガキは8月も届いたが、1円も戻ってきていない。時間稼ぎだろう」とあきらめた様子で話す。
被害対策弁護団は、ケフィアに債権者破産の申立や刑事告発も検討している。瀬戸際に追い込まれたケフィアの対応が注目される。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年9月3日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)