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タカタの事業譲渡「代金は15億8,800万ドル、4つの譲渡契約」

滋賀会場、400名超が参加

 民事再生手続き中のエアバッグ大手タカタ(株)(TSR企業コード:295877413、品川区)と関連2社の事業譲渡説明会が、2月1日午前11時からホテルニューオウミ(滋賀県近江八幡市)で開催された。滋賀県はタカタの創業の地で、県内で4工場が稼働している。
 説明会は午前と午後の2回開催され、午前は少額弁済の対象先、午後は少額弁済の対象外の企業関係者が集まった。午前の説明会には、取引先の関係者400人超が参加した。

タカタ配布資料

会場で配布された資料(画像を一部加工しています)

 会社側からは品質保証本部長兼営業本部長の清水博取締役、経理財務本部長の野村洋一郎取締役のほか、関連会社のタカタサービス(株)(TSR企業コード:295053313、品川区)の川﨑修社長が出席。その他、申請代理人の小林信明弁護士らが出席した。
 冒頭、清水取締役がエアバッグの不具合による被害者へのお詫びと民事再生手続中の取引継続についてのお礼を述べた。その後、清水取締役や代理人からスポンサーのキー・セイフティー・システムズ(KSS)グループへの事業譲渡スキームが説明された。
 説明によると、リコール製品以外の事業及び資産をKSS(グループ含む)へ譲渡し、リコール製品の関連事業はリコール支援を継続するため、タカタグループに残る各法人にて継続する。

事業譲渡代金は15億8,800万ドル

 タカタグループに残る法人は、リコールの原因となった「相安定化硝酸アンモニウム」(PSAN)を使用したインフレータの回収・運送・廃棄や乾燥剤入りインフレータの安全性検証に関する費用などで総額2億ドルの費用負担が発生する。また、アメリカ司法省と司法取引で合意した補償基金への拠出に8億5,000万ドルが発生する。これらは事業譲渡代金15億8,800万ドルより拠出される。
 そのほか、スポンサー企業の選定に至った経緯や事業譲渡契約の概要などが説明された。

 事業譲渡のスキームは以下の通り。

1)日本・アジア諸国における事業譲渡契約のJapan-APA
2)アメリカ・メキシコ・南米における事業譲渡契約のUS-APA
3)ヨーロッパの事業譲渡契約のEMEA-APA
4)タカタの中国子会社における事業譲渡契約のTSAC-APA

 主要契約であるJapan-APAは、タカタとタカタサービス、タカタ九州(株)(TSR企業コード:930078128、佐賀県)を対象とし、PSANインフレータ関連事業などを除いて、KSSグループのJOYSON KSS AUTO SAFTY S.A(特別目的会社などを含む)に継承されるという。
 その後、質疑応答が行われ約1時間で散会となった。

主な質疑応答

Q.事業譲渡後もKSSとの取引がそのまま継続されるとのことであるが、保証されるものか。また、KSSの意向で方針が変更される可能性はあるか。
A.事業譲渡後はKSSの判断のもとに経営が行われるのが前提だが、スムーズな事業を継続していくため取引関係の移管もスムーズにしたい意向。取引詳細については個別に説明があるものと思われる。KSSも日本に基盤がないことから、取引関係が継続、移行されるよう要請しているが、保証できるものではない。

Q.KSSに譲渡される事業と譲渡されないタカタグループの各法人(RTKグループ)があるが、どちらに割り振られるのか。
A.リコール製品に関連するものはRTKグループと取引となるが、リコール製品の部品工場は国内でなく、海外のみとなっている。

Q.国内事業所はそのまま継続されていくものか。
A.KSSとは、現時点で事業所での営業を続けるものと合意している。

Q.KSSに事業譲渡されないタカタグループに残る各法人(RTKグループ)のメインバンクなどの詳細を教えてほしい。
A.詳細は決まっていない。日本に関しては、リコール製品の回収業務、運送、廃棄などの業務が中心となり、日本法人を新たに設立することになる。また、RTKグループの中核企業はアメリカとなり、日本は系列の法人となる予定。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月5日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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