• TSRデータインサイト

タカタ(株)の民事再生法申請から3カ月

 6月26日に製造業としては戦後最大の倒産となった、エアバッグ製造大手のタカタ(株)(TSR企業コード:295877413、東京都、負債総額1兆5,024億円)が民事再生法の適用を申請してから、9月25日で3カ月が経過した。連鎖倒産は「ゼロ」が続いている。


連鎖倒産が発生しない要因

 連鎖倒産が発生しない要因としては、以下が挙げられる。
1. タカタが部品供給等に関わる重要な取引先に対して、従前の取引条件での支払いを行ったこと。
2. 政府が信用保証協会を通じてタカタと一定の直接取引関係を有する中小企業・小規模事業者を対象として、一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証するセーフティネット保証1号を発動したこと。
3. 日本政策金融公庫などの政府系金融機関において、タカタの民事再生法の適用申請により影響を受け、売上減少など業況が悪化している中小企業・小規模事業者に対してセーフティネット貸付を実施したこと。
4. 各自治体が、タカタの取引先に対して相談窓口を設け、保証協会や商工団体との連携など支援体制を敷いたこと。
 これらにより連鎖倒産が抑えられているとみられる。

米国子会社に東京地裁が外国倒産処理手続の承認を決定

 こうしたなか、9月6日に東京地裁はタカタの米国子会社で、日本の民事再生法にあたる連邦倒産法第11章(チャプター11)を申請したTK Holdings Inc.(DUNS:185605854、米国ミシガン州、以下TKH)に対し、「外国倒産処理手続の承認」を決定した。
 今回の承認は「外国倒産処理手続の承認援助に関する法律」に基づく。同法第1条では、「国際的な経済活動を行う債務者について開始された外国倒産処理手続に対する承認援助手続きを定めることにより、当該外国倒産処理手続の効力を日本国内において適切に実現し、もって当該債務者について国際的に整合のとれた財産の清算又は経済的再生を図ることを目的とする」と定めている。
 現時点でタカタの民事再生法申請による短期的な連鎖倒産は発生していない。だが、関連会社を含めた法的手続きは粛々と進められている。キー・セイフティー・システムズが主導する再建策の行方次第では、下請け業者の業績に影響を与えかねず、今後の推移が注目される。

タカタグループの国内仕入先 業種別社数ランキング

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ