• TSRデータインサイト

【タカタ破綻】取引先へ送った2種類の気になる「お知らせ」

 6月26日に民事再生法の適用を申請したタカタ(株)(TSR企業コード:295877413、東京都)が、取引先に2種類の「お知らせ」を送付していたことがわかった。東京商工リサーチが、独自に2種類の通知文を入手した。

タカタの本社受付

タカタの本社受付

下線版、無下線版

 通知文のタイトルはどちらも「民事再生手続開始の申立てについてのお知らせ」。平成29年6月26日付となっている。
 通知文はタイトル下に下線がある(以下、下線版)ものと、下線がない(以下、無下線版)ものの2種類。通知人は、タカタ(株)、タカタ九州(株)(TSR企業コード:930078128、佐賀県)、タカタサービス(株)(TSR企業コード:295053313、東京都)と、民事再生法の申請代理人である須藤英章弁護士、小林信明弁護士の名義が記載されている。
 どちらの通知文も、「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」で始まっている。

2種類の弁済方法

 下線版は、「すべての債務を、従前どおりの取引条件でお支払いいたします。つまり、本申立てにより貴社へのお支払いが滞ることはありません」の文言が囲まれている。
 一方、無下線版では囲みの部分の記載がなく、「民事再生手続開始申立日の前日(平成29年6月25日以前)の原因に基づいて生じた弊社の債務につきましては、今後、民事再生手続の中でお支払いさせていただくことになります」とし、「民事再生手続開始申立日(同月26日)以降に新たに生じた債務につきましては、従前の取引条件にてお支払させていただきます」と記載されている。

タカタのコメント

 2種類の「お知らせ」の存在についてタカタの担当者は、「2パターン出しているのは事実」と認めた。異なる弁済条件については、「スポンサーと協議中でセンシティブなのでコメントは差し控えたい」と述べるにとどまった。
 ただ、下線版だけ「お取引先様との継続的な取引関係を維持することが、当社の製品の供給継続に極めて重要であることから、特別に、取引先変更に自動車メーカー様の客先承認が必要である等事業の継続に不可欠なお客様につきまして…」との記載もある。
 取引先の多くは、債権の全額保全と同時に、従来通りの取引を求めている。すでに取引先の選別が始まっている可能性も浮上してきた。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年6月29日号に「お知らせ」の詳細を掲載予定)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ