• TSRデータインサイト

「東芝メモリに移管されるグループ会社」の仕入先調査

 (株)東芝(TSR企業コード:350323097、港区)は、3月14日に予定していた2017年3月期第3四半期の決算発表を再度延期した。
 これに先立つ2月10日、東芝の全額出資で東芝メモリ(株)(TSR企業コード:023477687、港区)が設立された。4月1日に分割が予定されている半導体メモリー事業の受け皿で、国内移管会社5社(以下、国内移管5社)の株式が東芝から東芝メモリへ移管される。
 東京商工リサーチでは保有する企業データベースから、国内移管5社の仕入先を抽出し、企業規模や業種などを分析した。それによると仕入先は23社(重複分を排除)が確認され、最も多い業種は電気機械器具卸売業の3社(構成比13.0%)だった。資本金別では、1億円未満の企業が7社(同30.4%)あった。


  • 本調査は、東京商工リサーチが保有する国内最大級の企業データベース(298万社)から、4月1日に東芝から東芝メモリへ株式が移管される予定の国内移管5社の仕入先を抽出した。
  • 4月1日に東芝から東芝メモリへ株式の移管が予定されている5社は以下の通り。
     1)東芝メモリアドバンスドパッケージ(株)(TSR企業コード:882010778、三重県四日市市)
     2)東芝メモリシステムズ(株)(TSR企業コード:350650241、神奈川県横浜市)
     3)Flash Forward合同会社(TSR企業コード:522143881、三重県四日市市)
     4)Flash Partners(有)(TSR企業コード:402350405、三重県四日市市)
     5)Flash Alliance(有)(TSR企業コード:522053483、三重県四日市市)
  • 国内移管5社の情報は3月14日9時半現在。

業種別ランキング

 国内移管5社の仕入先23社の業種別で、最多は電機機械器具卸売業の3社(構成比13.0%)。次いで、半導体製造装置製造業、電気計測器製造業が各2社(同8.7%)だった。
 以下、労働者派遣業、商品検査業、機械設計業、機械器具設置工事業などが各1社(同4.3%)で続く。

業種別ランキング

都道府県別取引先

 23社の本社地は、最多が東京都の9社(構成比39.1%)。次いで、神奈川県、福岡県、大分県の各3社(同13.0%)だった。国内移管5社のうち、4社がある三重県はジャパンマテリアル(株)(TSR企業コード:500160589、三重県三重郡)の1社だった。

売上高別

 23社の売上高で最も多いのは、50億円以上の14社(構成比60.8%)で、このうち8社が上場企業だった。次いで、1億円以上10億円未満の3社(同13.0%)。1億円未満と10億円以上50億円未満は、それぞれ1社(同4.3%)。

売上高別

資本金別

 23社の資本金で最も多いのは、1億円以上の16社(構成比69.5%)だった。1千万以上5千万円未満の5社(同21.7%)、5千万円以上1億円未満の2社(同8.7%)の順。1千万円未満の仕入先はなかった。

資本金別

 東芝から東芝メモリに株式移管される国内グループ会社5社(国内移管5社)の仕入先は23社で、半導体メモリー専業だけに比較的少ない。ただ、仕入先の業種は多岐にわたっており、事業分野のすそ野の広さと同時に専門に特化した事業形態であることを示している。
 売上高別では50億円未満が5社(構成比21.7%)、資本金別では1億円未満が7社(同30.4%)に上り、業容が比較的小さい企業とも取引があることがわかった。
 4月1日に分割予定の半導体メモリー事業の価値は、2兆円以上との見方も出ている。債務超過が視野に入り苦境に陥った東芝としては、東芝メモリ株式の過半数の売却でも財務面は大幅に改善される。
 ただ、東芝持分が過半数を割り込み、外部の第三者が筆頭株主に踊り出た場合、東芝メモリの信用力はマジョリティを獲得した企業に大きく依存することになる。このため、今回の調査で判明した国内移管5社の仕入先は、取引条件や与信限度額の見直しを強いられる可能性もある。
 1875年の創業以来、1世紀以上にわたって国内外の電機業界をリードしてきたため、東芝グループの取引先は多岐に及び、これらステークホルダーは東芝の動向を注意深く見守っている。それだけに東芝は早急に現実的で合理性のある再建プランの策定に加え、迅速かつ正確な情報開示が求められている。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

2

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均1ドル=141.6円 前期比1.9円円高を想定、4期ぶり円安にブレーキ

主な株式上場メーカー98社の2025年度決算(2026年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=140円が48社(構成比48.9%)と約5割にのぼった。平均値は1ドル=141.6円で、前期に比べ1.9円の円高となった。

3

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

日産自動車の役員報酬1億円以上開示は5人 内田前社長の報酬額は3億9,000万円

 経営再建中の日産自動車が、2025年3月期決算の有価証券報告書を提出した。報酬額1億円以上の個別開示の人数は5人で、前年と同数だった。

5

  • TSRデータインサイト

2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分

2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、189件(前年比8.0%増)で、漏えいした個人情報は1,586万5,611人分(同61.2%減)だった。 事故件数は調査を開始した2012年以降、2021年から4年連続で最多を更新した。

TOPへ