• TSRデータインサイト

2017年に「周年記念を迎える企業」調査

 2017年(平成29年)に50年、100年、200年、300年を迎える周年記念企業(以下、周年企業)は全国で2万4,670社だった。創業100周年は、2017年4月1日に(株)SUBARUへ商号変更を予定している富士重工業(株)、多くのファンを持つ光学機器メーカーの(株)ニコンなど、世界有数のメーカーに成長している。創業300周年は、注目の抗がん剤「オプジーボ」などを手がける大手製薬メーカーの小野薬品工業(株)など、酒造会社や薬品メーカーなどが目立った。
 周年企業は、長年の各業界で築いた実績、培われた技術力と顧客基盤などを備え、資金力に長けた有力メーカーが多い。


  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから、創業年より2017年で50年、100年、200年、300年を迎える企業を抽出し、分析した。

周年企業数 100周年は1,118社

 2017年に創業50周年を迎える企業は2万3,514社だった。創業年の1967年(昭和42年)は、いざなぎ景気による高度成長を果たしていた時期だ。
 創業100周年企業は1,118社だった。ヨーロッパが主戦地の第一次世界大戦(1914-1918年)を経緯に、日本製品の輸出が急増した時期の創業(1917年、大正6年)と重なる。そのため、創業100周年を迎える企業は、世界的な企業にまで成長した製造業が多い。
 江戸時代後期にあたる創業200周年(1817年、文化14年)は4社、徳川吉宗の時代(1717年、享保2年)に創業した300周年企業は34社だった。

周年企業数

主な周年企業

 創業50周年を迎える主な企業は、愛媛県のスーパー(株)フジなど。
 創業100周年は、2017年4月1日に(株)SUBARUへ商号変更を予定する富士重工業(株)や、多くのファンを抱える光学機器メーカーの(株)ニコン、乳製品製造の森永乳業(株)など有力メーカーが名を連ねている。
 創業300周年を迎える主な企業は、医薬品製造の小野薬品工業(株)、酒類卸の(株)ぬ利彦など。

主な周年企業

産業別の周年企業数 300周年は製造業が突出

 産業別では、周年により時代背景が透けて見える。製造業は300周年では21社(構成比61.7%)と約6割を占めた。一方、50周年になると3,687社(同15.6%)と構成比は大幅に低下し、代わって建設業が9,865社(同41.9%)と4割を占めた。ただ、建設業は200周年、300周年はゼロだった。

産業別周年企業

資本金別の周年企業数 300周年で1千万円未満は5社

 資本金別では、100周年は1千万円以上5千万円未満が607社(構成比54.2%)で最多だった。 300周年は1千万円以上5千万円未満が20社(同58.8%)と約6割、5千万円以上や1億円以上を含めた1千万円以上は29社(同85.2%)と8割を超えた。

都道府県の創業100周年企業

 2017年に創業から100周年を迎える都道府県別では、東京都が207社(構成比18.5%)と最も高く、次いで大阪府106社(同9.4%)、愛知県64社(同5.7%)、北海道50社(同4.4%)、京都府46社(同4.1%)の順だった。

都道府県別周年企業

 2017年に50年、100年、200年、300年の周年記念を迎える企業は、ほんの一握りだ。社会や経済が刻々と変化する中、市場動向をみながら柔軟に対応しなければならない。主力の事業が不振に陥っても、新たな事業を育て成長に導くための独自の経営ノウハウが蓄積されている。
 2015年の1年間に全国で新しく設立された法人は12万4,996社で、6年連続で前年を上回っている。このうち、50年後、100年後も存続している会社が何社あるか興味深い。
 周年記念を迎えることは、次のステージに向かい自社の歴史や世紀を超えて事業を発展、継続してきた背景を振り返り、今後の展望を描くチャンスでもある。2017年は周年企業の活躍が期待される。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ