• TSRデータインサイト

レセプト債販売のアーツ証券、個人債権者477人

 2月1日、東京地裁に破産を申請したアーツ証券(株)(TSR企業コード:295803100、法人番号:3010001084162、東京都中央区、川崎正社長)の債権者が判明した。同社が一般投資家(法人・個人含む)に販売していたレセプト債(診療報酬債権)は、投資家からの出資金をもとにファンドが医療機関から診療報酬請求権を買い取り、利益を償還・配当する仕組み。アーツ証券は、オプティ・メディクス・リミテッド(TSR企業コード:015822486、英領バージン諸島)が発行する社債「OPTI-MEDEX Note」を約38億円、メディカル・トレンド・リミテッド(TSR企業コード:015822451、英領バージン諸島)が発行する社債「Medical Trend Note」を約29億円、合計約67億円の社債および複数の社債も一般投資家に販売していた。
東京商工リサーチではアーツ証券が東京地裁に提出した「破産手続開始申立書」を入手し、分析した。これによると個人債権者数は477人、債権総額は44億9,899万円にのぼる。このうち、債権額1,000万円以上は全国で115人に達し、最大債権額は2億9,000万円だった。

債権の平均額は943万円、安愚楽牧場の1.6倍

 債権総額を債権者数で割った1人当たりの平均債権額は943万円だった。債権者の金額レンジでは、100万円以上1,000万円未満が349人(構成比73.1%)と大多数を占めた。1,000万円以上の債権者は115人(同24.1%)。1人当たりの債権額の最大は2億9,000万円だった。
いわゆる「和牛商法」で社会問題化した(株)安愚楽牧場(TSR企業コード:260136662、栃木県那須塩原市、2011年12月破産)の債権者は7万3,356名で、1人当たりの平均債権額は574万円だった。これに比べるとアーツ証券の個人債権者の平均債権額は1.6倍に膨らみ、影響の大きさがわかる。

債権者の所在地、東京都が最多

 都道府県別の債権者数は、東京都が122人(構成比25.5%)で最多だった。以下、愛知県61人(同12.7%)、神奈川県48人(同10.0%)と続く。債権者数の上位10都県中、関東が5都県を占め、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に個人債権者、債権額の約5割が集中している。
地区別では関東、中部、九州の3地区で全体の89.7%を占めた。近畿は22人(同4.6%)、中国2人、四国1人と比較的、西日本は少なかった。今後、個人債権者は、アーツ証券に社債償還資金の返済を求めることになるが、アーツ証券には弁済にあてる資産はほとんどなく、個人債権者が投資資金を全額回収することはほぼ困難となった。

アーツ証券地区別債権者数

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「士業」の倒産、2年連続最多

「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。

2

  • TSRデータインサイト

「歯科関連」倒産 20年間で最多の39件 診療報酬改定の効果と中東情勢の行方

コンビニより多い歯医者が苦境に立たされている。2025年に「歯科診療所(歯医者)」と「歯科技工所」の倒産は、39件(前年度比56.0%増)と急増、2006年度以降の20年間で最多だった。

3

  • TSRデータインサイト

緊迫続く中東情勢 企業の約8割で事業にマイナス ガソリン価格と原材料の高騰、品薄に根強い懸念

 4月8日、米国とイランは2週間の停戦に合意したと伝えられるが、その間もイスラエルがレバノンを攻撃したと報じられるなど、ホルムズ海峡が全面開放されるかまだ不透明な状況が続く。この状況を受け、国内企業の約8割が「マイナスの影響がある」と回答した。

4

  • TSRデータインサイト

2025年度の「ラーメン店」倒産 過去2番目の57件 負債1億円以上が増加、効率化と付加価値が課題に 

2025年度(4‐3月)の「ラーメン店」倒産は57件(前年度比21.2%増)だった。集計可能な2009年度以降では、過去最多を記録した2023年度の63件に次ぐ、2番目の高水準だった。

5

  • TSRデータインサイト

クリアースカイの債権者が会見 ~ 第三者破産の経緯を説明 ~

4月7日、合同会社クリアースカイ(TSRコード: 137254873、京都府)の債権者が京都市内で会見した。同日に債権者が申し立てた破産(第三者破産)に関して経緯などを説明した。 会見には、多数の債権者のほか申立代理人の加藤博太郎弁護士、石戸悠太朗弁護士(加藤・轟木法律事務所)が出席した

TOPへ