• TSRデータインサイト

“オリンピック”にちなんだ社名 168社

9月8日、2020年東京オリンピック開催が決定した。56年ぶりの日本開催で景気回復への起爆剤の期待が高まるが、"オリンピック"にちなむ社名をつけた企業は全国で168社あることがわかった。これは全国の法人・個人企業約420万社の0.004%に過ぎない。
業種別では、障害者支援のスポーツ振興を目的とした特定非営利団体を始め、スポーツ関連、不動産業など、幅広い業種に広がっている。資本金1億円未満が160社(構成比95.2%)と圧倒的に多く、中小企業が大半を占めた。前回、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に設立された企業は2社にとどまり、オリンピック開催と企業設立の関連性は薄いようだ。

  • 本調査は東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース256万社から、オリンピック、オリムピック、オリンピツク、オリムピツク、オリンピア、オリムピア、オリンピヤ、オリムピヤ、Olympic、Olympia、五輪(読み:ごりん)、ゴリン、ごりん、の各語句を社名に含む企業を対象に抽出した。

"オリンピック"にちなんだ社名 「オリンピア」が半数

168社の社名に使用された語句は、「オリンピア」が80社(構成比47.6%)でトップだった。次いで、「オリンピック」42社(同25.0%)、「五輪」29社(同17.2%)、「ゴリン」5社(同2.9%)、「オリムピック」4社(同2.3%)、「オリンピヤ」3社(同1.7%)、「オリムピア」と「Olympic」が各2社(同1.1%)、「オリムピツク」1社(同0.6%)の順だった。
沖縄県のスポーツ用品販売の(有)オリンピア道具店は、「東京オリンピックが開催された1964年10月創業で、オリンピックにちなんだ」とのこと。東京都のビルメンテナンス業のビー・エム・オリンピア(株)は「東京オリンピックの開催年に管理マンションが完成したのがきっかけ」と、いずれも56年前の東京オリンピック開催にあやかり社名に使っている。
なお、オリンピックを連想させる語句や商品名の使用はJOC(日本オリンピック委員会)が規制しているが、社名は「屋号」として認めている。

業種別 幅広い業種で使用

業種別では、スポーツ振興などを目的にした非営利団体20社(構成比11.9%)、事業会社では不動産業が20社(同11.9%)で最多だった。次いで、スポーツ関連(スポーツ用品販売、スポーツ関連施設など)18社(同10.7%)と続く。事業会社は「オリンピック関連銘柄」として東京開催の決定後、株価が急騰した業種が多く、オリンピック開催への期待が大きいことを示している。
次いで、食品・飲食14社(同8.3%)、産業機器製造販売と事業サービスが各12社(同7.1%)、建設11社(同6.5%)、投資運用7社(同4.1%)、病院・医療関連6社(同3.5%)、自動車関連5社(同2.9%)の順だった。このほか、農業、印刷、クリーニング、保育所、美容、冠婚葬祭でも使われており、幅広い業種に"オリンピック"の浸透ぶりがうかがえる。

資本金別 1,000万円未満が3割

資本金別では、「1,000万円以上5,000万円未満」が66社(同39.2%)、次いで「100万円以上1,000万円未満」46社(同27.3%)、個人企業、一般財団・社団法人、特定非営利活動法人など「その他」32社(同19.0%)、「1百万円未満」が10社(同5.9%)、「1億円以上」が8社(同4.7%)、「5千万円以上1億円未満」が6社(同3.5%)の順。1億円未満が160社(同95.2%)と圧倒的に多いが、うち32社(同19.0%)は特定非営利活動法人や財団法人などだった。

設立年 オリンピック開催年の設立は12社

設立年がオリンピック開催の企業は、東京オリンピックの1964年が2社、札幌オリンピックの1972年が6社、長野オリンピックの1998年が4社、合計12社にとどまった。オリンピック開催年に"オリンピック"にちなんだ商号の設立は少なく、"オリンピック"への思い入れとビジネスは別とのシビアな側面も透けてみえる。

まとめ

オリンピックは世界的に友好の輪を広げるスポーツの祭典だ。オリンピックにちなんだ社名をつけることは、知名度やイメージのアップに繋がりやすく思われる。だが、オリンピックにちなんだ社名の企業は168社と少なく、イメージ先行に過ぎないようだ。
2020年、56年ぶりの東京オリンピック開催で、国内経済に与える波及効果は東京都の試算では2兆9,609億円、雇用の押し上げ効果は全国で約15万人に達することが期待される。さらに、この一大イベントの直接効果だけでなく、関連需要も景気拡大の旗振り役になる可能性を秘めている。大きな商機に結び付けようと、"オリンピック"にちなんだ社名をつけた企業が生まれるかも知れない。ただ、ブームの社名頼りでなく、ビジネスには努力が必要なことを忘れてはいけない。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「鰻の成瀬」、株式譲渡を巡り対立が表面化~ 仮処分決定と株主間契約 ~

うなぎ料理専門店「鰻の成瀬」のフランチャイズ(FC)やコンサルティングなどを手掛けるフランチャイズビジネスインキュベーション(株)(TSRコード:136729983、滋賀県、以下FBI社)の周辺が騒がしい

2

  • TSRデータインサイト

キーボード「FILCO」のダイヤテック、忸怩たる破産 ~ 為替デリバティブと需要減、綱渡りの資金繰り ~

パソコン用キーボード「FILCO(フィルコ)」で知られあるダイヤテック(株)(TSRコード:292026617、東京都)が負債2億円あまりを抱えて4月30日、破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

役員報酬額 歴代最高の134億円「セブン&アイHD」デピント元取締役

(株)セブン&アイホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント元取締役(2025年3月9日辞任)の2026年2月期の役員報酬額が、134億1,700万円と、過去最高額となった。5月20日に公表された有価証券報告書で判明した。

4

  • TSRデータインサイト

エステサロン、倒産が今年もハイペース ~1-4月は過去最多、高額契約は慎重に~

全身美容や脱毛などエステ・脱毛サロンの倒産が止まらない。2026年は4月までに35件に達し、同期間で過去最多だった2025年の31件を上回った。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ