• プレスリリース

ベンダーリース取引に関する共同研究について

国立大学法人一橋大学(学長:蓼沼宏一、以下「一橋大学」)、株式会社東京商工リサーチ(代表取締役社長:河原 光雄、以下「TSR」)、三井住友ファイナンス&リース株式会社(代表取締役社長:橘 正喜、以下「SMFL」)は、これまでベンダーリース取引の自動審査における利用を目的とした予測アルゴリズムの開発、同実証実験、当該業務に関連するデータ解析を対象とする共同研究を進めておりましたが、今般基礎的な分析を完了し、今後実用化に向けた研究を進めることを合意しました。

共同研究の具体的な内容

共同研究の具体的な内容は、以下の通りです。

  • SMFLが保有するリース案件情報、TSRが保有する企業レベルビッグデータ、一橋大学(研究代表者:大学院経営管理研究科宮川大介准教授)が提供する機械学習(AI)・計量経済学手法を用いて、債務不履行に関する予測、詐欺行為に関する検知・予測を行います。
  • リース取引の成約率(受注率)を高める要因の探索(因果推論)などを目的とするデータ解析を行います。
  • リースの申し込みから受注に至る可能性の予測などを対象としたモデルの構築と予測結果の実務利用に関する実証実験を行います。

これまでの基礎的な分析では、債務不履行の予測を目的として構築したモデルが、SMFLが持つ既存モデルの精度を大きく上回ることを確認しています。

本件は、データ解析やアルゴリズム開発で高度な学術的知見を有する一橋大学、国内最大級の企業情報を有するTSR、本邦リース事業でトップクラスの実績を有するSMFLがそれぞれの知見・ノウハウおよび機能を結集することで、ベンダーリースビジネスにおける課題解決に直結した分析を行い、実務での活用を図るものです。

共同研究における3者の役割

共同研究における3者の役割は以下の通りです。

  • 一橋大学は、データ解析やアルゴリズム開発に係る学術的知見の提供、データベースの構築と管理、ワークステーションなどの計算機資源の提供を担当するほか、研究プロジェクト全体の設計と進捗管理を行います。
  • TSRは、企業情報に関する分析用ビッグデータを提供するとともに分析用データベースの構築に関する知見の提供と技術サポートを行います。
  • SMFLは、データ分析および各種予測モデルの開発を行うと共に研究成果のリースビジネスへの実装を検討していきます。

今般の取り組みの意義

今般の取り組みの意義は、以下の通りです。

  • 一橋大学は、社会的課題の解決に向けた学術研究の推進と研究成果の社会実装を全学の重要な目標として設定しており、この観点から今般の共同研究は、社会科学系大学における学術研究を基にした社会貢献の好例であると考えています。
  • TSRは、円滑な商取引の実現を目標としており、この観点からTSRが保有する企業レベルビッグデータと一橋大学とともに発明したデータ分析の特許(審査中)を発展的に活用することで、事業会社の実業務の改善に資する好例であると考えています。
  • SMFLは、ベンダーリース事業において、より適切な与信管理および意思決定の効率化・迅速化を行うことで、同事業の拡大と顧客サービスの向上を図るとともに、今般の研究や開発で得られた成果やノウハウを他の事業分野にも応用していきます。

一橋大学では、今般の大学院経営管理研究科における取り組みに代表されるように、様々な業界のトップ企業との共同研究が進行中です。今後、学術的に意義の高い研究を実務的に意味のある形で応用・実装する取り組みを一層進めていきます。

TSRは、お客さまが抱える課題を解決するための新たな商品・よりよいサービスの提供を目指す一環として、企業レベルビッグデータの分析を軸とした付加価値の高い情報の提供を継続していきます。

SMFLは、データサイエンスおよびAI・ロボティクスの活用により、ビジネスモデルの高度化を図るとともに新たな事業領域を開拓していくことで、お客様により付加価値の高いサービスをよりスピーディーに提供していきます。

ベンダーリース取引に関する共同研究について[PDF:177KB]

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ