TSR調査員が教える企業調査のチェックポイント

TSR調査員が教える企業調査のチェックポイント

TSRの調査員は企業のこんなところを見ています

東京商工リサーチの調査先は日本全国に存在するすべての会社です。調査でお伺いした企業が翌年には倒産、という場面もあります。ここではTSRの調査担当者が通常、調査先へお伺いした際にどのようなところをチェックしているのか、経験則に基づいた事例を紹介したいと思います。定量的な分析材料は揃えた上で、与信判断の参考のひとつとしてお読みいただけると幸いです。

どのようなところをチェックしているのか

声の大きさ、反応

  • 調査先で取材担当者が入室した際の表情は分かりやすいですね。気分にもよるのでしょうが、やはり業績が良くなると表情にも表れますよ。
  • この前倒産してしまった企業さんの話なんですけど、久々にお伺いしたら、下を向いて元気なさそうに応対していましたね。数字面では極端に悪い、とは言えなかったんですが、やはり調子がよくなかったのだなあと後になって気が付きました。

話す内容について

  • 業績や従業員数など、数字を常に意識している社長は違う。資料を読みながら話す社長は、右腕となる役員や部下がいるのかを必ずチェックしますね。

社内の雰囲気

  • 訪問先での従業員の対応は会社によっては様々ですね、フロアに入った際に、丁寧に「いらっしゃいませ」といわれると基本的な社内教育が充実しているのだと感じます。
  • 名刺入れや手帳がとてつもなく厚い場合は、片付けが苦手な方なんだと思いますね。勝手ながら、デスク周りを想像してしまいます。
  • 営業マンなら誰しもチェックしているとは思いますが、カレンダーの取引先名は自然と記憶してしまいます。
  • きれいなガラス製のテーブルに手垢・脂がのっぺり付いている会社は、管理が行き届いておらず危ない。

決算書内容について

  • 経常利益を重要視します。増えた減ったではなく、営業外収益によって経常利益がかろうじてプラスになっているなど、その背景を見ています。
  • 減価償却の有無(金額)に注目します。この不況下、減価償却を見送って潜在的な負債を溜め込んでいる企業は多いですよ。
  • 過去数年の売上高は頭に入れた上で取材をします。企業が成長することは当然ですが、合理的な説明ができない「急成長」は要注意ですね。最悪の場合、利益度外視の安売り、架空販売(循環取引)も考えられます。

その他

  • 住所表示の「号」ってあるじゃないですか、大手町1丁目3番○号とか。あれは時計回り順に番号が大きくなるんですよ。それが頭の中に入っていると、初めての行く土地でも迷うことは少なくなりますね。
  • 調査先企業が入居しているビルの名称と、他に入っている企業を必ず数社確認します。なんかあやしい雰囲気の会社って、同じビルに入っている他の会社も割と似た雰囲気なんですよ。

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