• TSR速報

(株)BALM(旧:ビッグモーター)

ビッグモーターの看板、事業は新会社に譲渡(TSR撮影)

ビッグモーターの看板、事業は新会社に譲渡(TSR撮影)

(株)BALM(旧:(株)ビッグモーター、東京都港区)は12月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は柴原多弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、千代田区大手町1-1-2)ほか、監督委員には瀬戸英雄弁護士(LM虎ノ門南法律事務所、港区虎ノ門1-15-12)が選任された。
 負債総額は債権者163名に対して約831億円。

 1976年1月に山口県岩国市で創業し、自動車修理工場から中古車販売も開始し、積極的な出店やM&Aなどにより事業を急拡大。BIGMOTOR(ビッグモーター)の店名で中古車販売を主軸に、買取や車検、修理、板金塗装、損害保険など幅広く扱い、2002年3月期には売上高100億円を突破していた。以降も出店など投資を加速させ、2015年9月期(決算期変更)に売上高1000億円を超え、2021年9月期には売上高4567億8200万円、123億7400万円の利益をあげていた。
 
 しかし、2018年頃には幹部による売上の前倒しや架空計上など不適切な会計処理が発覚。さらに2020年8月以降、一部工場従業員などによる修理の過大な見積りや不必要の修理を行うなど不正が行われ、損害保険会社が問題化していた。その後、特別調査委員会による調査で、ヘッドライトのカバーを割るなど不適切な行為が多数見つかった。また、店舗周辺の街路樹や植え込みが除草剤などの影響で枯れた可能性が高いなどコンプライアンス意識の欠如が露呈し、信用が失墜した。

 こうしたなか、2024年3月に伊藤忠商事がスポンサーとなって再建に着手。同年5月1日に中古車販売などの全事業を(株)WECARS(TSR企業コード:861037553、法人番号:7011101105985、千代田区)へ吸収分割方式で譲渡、当社は保険不正請求問題などに伴う対応にあたっていたが、未確定の潜在債務を確定させる目的で今回の措置となった。
 なお、会社側によると「現在保有する手元現預金ならびに将来収入を保全しつつ、被害に遭われた少額債権者様および債権者様への早期弁済を目指していきたいと考えている。今回の民事再生手続きは、未確定な潜在債務を早期確定し、全額弁済を目指す方針の下、申立てたもの」としている。

※(株)BALM(TSR企業コード:750059338、法人番号:9250001011590、港区赤坂2-14-11、設立1978(昭和53)年5月、資本金1億円)
※(株)WECARS(TSR企業コード:861037553、法人番号:7011101105985、千代田区)
※伊藤忠商事(株)(TSR企業コード:570013178、法人番号:7120001077358、東京都港区)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年度「人手不足倒産予備軍」  ~ 今後は「人材採用力」の強化が事業継続のカギ ~

賃上げ圧力も増すなか他社との待遇格差で十分な人材確保ができなかった企業、価格転嫁が賃上げに追い付かず、資金繰りが限界に達した企業が事業断念に追い込まれている。  こうした状況下で「人手不足」で倒産リスクが高まった企業を東京商工リサーチと日本経済新聞が共同で分析した。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-11月の「人手不足」倒産 359件 サービス業他を主体に、年間400件に迫る

深刻さを増す人手不足が、倒産のトリガーになりつつある。2025年11月の「人手不足」倒産は34件(前年同月比70.0%増)と大幅に上昇、6カ月連続で前年同月を上回った。1-11月累計は359件(前年同期比34.4%増)と過去最多を更新し、400件も視野に入ってきた。

3

  • TSRデータインサイト

【社長が事業をやめる時】 ~消えるクリーニング店、コスト高で途絶えた白い蒸気~

厚生労働省によると、全国のクリーニング店は2023年度で7万670店、2004年度以降の20年間で5割以上減少した。 この現実を突きつけられるようなクリーニング店の倒産を聞きつけ、現地へ向かった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年1-11月の「税金滞納」倒産は147件 資本金1千万円未満の小・零細企業が約6割

2025年11月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は10件(前年同月比9.0%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。1-11月累計は147件(前年同期比11.9%減)で、この10年間では2024年の167件に次ぐ2番目の高水準で推移している。

5

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

TOPへ