• TSR速報

みやび建設(株)

※画像は実際の企業とは関係ありません

※画像は実際の企業とは関係ありません

 みやび建設(株)(近江八幡市)は8月9日、千葉地裁松戸支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には内田徳子弁護士(柏綜合法律事務所、千葉県柏市中央町6-19)が選任された。
 負債総額は54億3530万円(2022年8月期決算時点)。

 1976年1月に塗装店として創業し、その後、宅建業許可および建築業許可を取得。2000年にはクレバリーホームのFCに加盟して滋賀県内でモデルハウスを兼ねた店舗を5店舗展開し、2016年8月期にはピークとなる売上高46億3989万円を計上した。さらに、2019年6月には新事業としてボートレースチケットショップ安芸高田場外販売所をオープンし、子会社による運営を行っていたほか、損害保険代理店業や太陽光発電事業なども展開し、経営の多角化を進めていた。

 こうしたなか、事業承継の準備に入ったものの、新社長は一部事業の売却など縮小路線を進めたことから、創業者との間で軋轢を生むこととなった。この過程で当社は現社長の駒秀樹氏と接点を持つようになり、数回にわたる交渉の末に2019年9月、同氏が当社株式を取得し、経営者が交代。

 以後、順次不動産事業の店舗閉鎖を行い、2020年1月を以てクレバリーホームのFCを脱退し、公共施設やビル、一般個人向け住宅などの建築工事にシフトした。高品質・短納期・ハイスピードをうたった施工方法を採用し、法人や個人を対象に受注基盤を築き、2020年8月期は売上高40億5149万円を計上した。

 しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響もあり、得意先の投資意欲が減退し、営業活動が停滞。コロナ関連融資を活用して凌いでいたが、2021年8月期は売上高が37億6151万円に減少したうえ、複数の不動産を売却したことで2億7717万円の赤字となった。

 この頃から取引先との間で請負代金を巡ったトラブルが生じ、複数社より提訴されていたほか、本社不動産には取引先や自治体から仮差押登記が設定されるなど、資金繰りの悪化が露呈。2022年8月期は案件獲得に一層苦戦し、売上高が5億3122万円に急減したうえ、資産売却により19億4528万円の赤字を計上し、大幅な債務超過に転落していた。

※みやび建設(株)(TSR企業コード:650067010、法人番号:4160001011010、近江八幡市鷹飼町北4-1-16、設立1996(平成8)年9月、資本金8000万円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

M&A総研の関わりに注目集まる資金流出トラブル ~ アドバイザリー契約と直前の解約 ~

東京商工リサーチは、M&Aトラブルの当事者であるトミス建設、マイスHD、両者の株式譲渡契約前にアドバイザリー契約を解約したM&A総合研究所(TSRコード: 697709230、千代田区)を取材した。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業、中高年の活用に活路 「早期・希望退職」は大企業の2.8%が実施

 「早期希望・退職」をこの3年間実施せず、この先1年以内の実施も検討していない企業は98.5%だった。人手不足が深刻化するなか、上場企業の「早期・希望退職」募集が増えているが、中小企業では社員活用の方法を探っているようだ。

3

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

4

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

5

  • TSRデータインサイト

2023年度「赤字法人率」 過去最小の64.7% 最小は佐賀県が60.9%、四国はワースト5位に3県入る

国税庁が4月に公表した「国税庁統計法人税表」によると、2023年度の赤字法人(欠損法人)は193万650社だった。普通法人(298万2,191社)の赤字法人率は64.73%で、年度集計に変更された2007年度以降では、2022年度の64.84%を下回り、最小を更新した。

TOPへ