全国企業倒産状況

2025年11月の全国企業倒産778件

11月の全国倒産 9カ月ぶり700件台、ことし2番目の少なさ


 2025年11月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は、件数が778件(前年同月比7.4%減)、負債総額は824億300万円(同48.5%減)だった。
 件数は、5月(857件)以来、6カ月ぶりに前年同月を下回った。700件台は2月(764件)以来、9カ月ぶりで、ことし2番目の低水準。11月では4年ぶりに前年を下回った。
 負債総額は、3カ月連続で前年同月を下回った。ことしに入り、5月の903億8,900万円を下回り、最少を記録した。11月に1,000億円を下回ったのは2年ぶり。負債が半減したのは、100億円以上が前年同月は東証グロース上場の日本電解(株)(茨城・負債147億6,100万円)など2件発生したが、ことしは最大の倒産が中央建設(株)(東京)の53億8,100万円と中堅規模の倒産が減少したため。一方で、負債1億円未満は608件(前年同月比0.8%減)で、構成比が78.1%とことし最高を記録し、小・零細規模の倒産が目立った。
 
 2025年11月の企業倒産は、2月(764件)に次いで、ことし2番目の低水準だった。前年同月を下回るのは6カ月ぶりだが、1-11月累計は9,372件(前年同期比2.2%増)で、通年では2年連続で1万件を超えることがほぼ確実になった。
 四半期別では、2025年1-3月が2,457件(前年同期比5.9%増)、4-6月2,533件(同3.0%減)、7-9月2,639件(同6.2%増)、10-11月1,743件(同0.4%減)と、一進一退での推移となっている。
 年末・年始の書き入れ時を迎えた。産業界では春以降、トランプ関税に加え、中国との関係悪化という新たなリスクが浮上している。こうしたなか、物価高で収益が圧迫される中小・零細企業は、金利上昇や人手不足など自社で解決できない問題も山積している。
 企業倒産は、抜本的な経営改善が遅れた企業を中心に、資金調達が難しい小・零細企業が押し上げる形で年間1万件の壁を超えていくとみられる。

企業倒産月次推移


・形態別件数:破産の構成比は88.5%、2カ月ぶりに80%台
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが22道府県、減少21都府県、同数4県
・負債額別件数:負債1億円未満の構成比78.1%、100億円以上は2カ月ぶりに発生せず
・業種別件数:機械器具小売業、汎・生産・業務用機械器具製造業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比は89.8%で、2カ月ぶりに80%台
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比:9カ月連続で100.0%
・「人手不足」関連倒産:34件(前年同月20件)で、内訳は人件費高騰17件(同10件)、求人難11件(同6件)、従業員退職6件(同4件)
・「物価高」倒産:62件(前年同月70件)で、1-11月累計は700件(前年同期652件)
・「ゼロゼロ融資」利用後の倒産:32件(前年同月37件)で、2カ月連続で前年同月を下回る

◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html

産業別 倒産動向 10産業のうち、3産業で前年同月を上回る

 2025年11月の産業別件数は、10産業のうち、3産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の250件(前年同月比17.7%減)で、6カ月ぶりに前年同月を下回った。月次倒産に占める構成比は32.1%(前年同月36.1%)。
 また、建設業147件(前年同月比3.2%減)と金融・保険業1件(前年同月2件)が2カ月連続、農・林・漁・鉱業7件(前年同月比41.6%減)と製造業85件(同14.1%減)が3カ月ぶり、卸売業90件(同8.1%減)と運輸業35件(同7.8%減)が4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
 一方、不動産業21件(同10.5%増)が、7カ月連続で前年同月を上回った。建物代理業・仲介業7件(同133.3%増)、不動産賃貸業4件(同33.3%増)などで増加した。
 このほか、小売業107件(同22.9%増)が6カ月連続、情報通信業35件(同16.6%増)が6カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。

2025年11月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移

主なサービス業他 倒産状況
   主なサービス業他 倒産月次推移

地区別 倒産動向 9地区のうち、3地区で前年同月を上回る

 2025年11月の地区別件数は、9地区のうち、3地区で前年同月を上回った。
 九州91件(前年同月比18.1%増)が5カ月連続、北海道23件(同35.2%増)と東北48件(同11.6%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、中部90件(同10.8%減)と北陸20件(同41.1%減)が2カ月連続、関東291件(同0.3%減)と中国16件(同46.6%減)が2カ月ぶり、近畿179件(同21.1%減)が4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。四国は前年同月と同件数の20件だった。
 北陸と九州は11月までで、前年の年間件数を超えた。

2025年11月 都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.中央建設(株)/東京都/総合建設業/53億8,100万円/民事再生法
2.(株)エステーホーム/東京都/戸建住宅施工ほか/42億4,800万円/特別清算
3.(株)シーズ/茨城県/スーパー経営/40億9,700万円/特別清算
4.(株)Jericho/兵庫県/中古自転車小売/21億円/破産
5.TM(株)/京都府/スポーツ用品小売/15億円/特別清算

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