こうして倒産した

2025年(令和7年)5月度こうして倒産した・・・
(株)ロイヤル
  • 愛知
  • スポーツ・カジュアル靴・雑貨類販売
負債総額
83億3000万円
 

 (株)ロイヤル(TSRコード:400466201、法人番号:3180001041964、名古屋市中区栄2-11-30、設立1973(昭和48)年2月、資本金5000万円)は5月27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は粟澤方智弁護士(粟澤・山本法律事務所、東京都千代田区飯田橋2-1-5)ほか。
 負債総額は83億3000万円。

 スポーツ・カジュアルシューズや衣類の輸入販売業者。家電量販店や大型スポーツ店、靴のチェーン店などへの卸売りのほか、全国主要都市のショッピングセンターで直営店を展開していた。近年はシューズやアパレルにとどまらず、冷蔵庫付きテーブルや小型電動バイクなども取り扱い、出店を加速させていた。
 2022年には岡山県に物流センターを完成させ、2023年8月期はコロナ禍から経済活動が回復に転じたことも背景に、133億7934万円の売上高を計上。 しかし、円安等による仕入れコストの増加に加え、在庫手当てや物流センターの不動産取得などによる借入金の負担も重く、同期の最終利益は254万円にとどまった。さらに、2024年8月期は物価高による消費マインドの低下を受け売上高が113億9385万円に落ち込み、5億7614万円の赤字を計上。その後も改善は見られず、積極的な拡大路線が裏目に出た形で資金繰りが悪化し、自力での再建を断念した。

ロボコム・アンド・エフエイコム(株)
  • 福島
  • ロボットパッケージ製造販売
負債総額
32億8400万円
 

 ロボコム・アンド・エフエイコム(株)(TSRコード:033099863、法人番号:7010401140635、南相馬市原町区萱浜字北谷地311、設立2018(平成30)年8月、資本金1500万円)は4月25日、福島地裁相馬支部より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は32億8400万円。

 ロボコム(株)(TSRコード:023869810、法人番号:3010701033708、東京都港区)および(株)オフィスエフエイ・コム(TSRコード:262040085、法人番号:4060001014881、栃木県小山市)の共同出資により、東京都港区で設立。2019年2月に福島県南相馬市から「市復興工業団地」の立地第1号として発表され、2021年6月に南相馬市の復興工業団地内に南相馬工場を開設した。以降はロボットパッケージの販売事業、大型5軸マシニングセンタや3Dプリンタなどを用いた加工代行サービスなどを手掛けていた。
 「新型コロナウイルス」感染拡大の影響等もあって売上は伸び悩んでいたなか、出資元の1社であるオフィスエフエイ・コムが2022年7月29日、民事再生法適用を申請し、同社に対する不良債権が発生するなど事業環境が一変。受注環境が一層悪化し、厳しい経営が続いていた。2023年12月には南相馬工場に登記上本社を移転し、2024年3月頃までに事業を停止していた。
 こうしたなか、2024年4月5日には、もう1社の出資元であるロボコムが破産開始決定を受け、債務整理もできなくなり2025年2月6日、株主総会の決議により解散していた。

ライフタイムコンサルティング(株)
  • 東京
  • 生命保険募集ほか
負債総額
24億1000万円
 

 ライフタイムコンサルティング(株)(TSRコード:294728872、法人番号:3010401102093、千代田区大手町2-3-2、設立2012(平成24)年10月、資本金3億円)は4月16日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は24億1000万円。

 オリックス生命保険(株)(TSRコード:292905998、法人番号:5011101004264、同所)の100%出資子会社。生命保険の募集や損害保険の代理業務などを主に手掛け、2022年3月期には売上高約20億円を計上した。
 しかし、同業他社との競争激化などにより利益は低調に推移。2024年3月期には7億6746万円の赤字計上により、債務超過額が拡大した。
 このため2023年12月、親会社が当社の会社清算を決定。保険契約の一部を(株)FPパートナー(TSRコード:298239671、法人番号:8010001129227、文京区)に譲渡し、当社は2025年1月27日、株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

(株)カワセミ(旧:(株)エイム)
  • 栃木
  • 自動車用樹脂製品製造
負債総額
16億円
 

 (株)カワセミ(TSRコード:262231417、法人番号:6060001025852、小山市梁2333、登記上:東京都千代田区丸の内3-4-1、設立2014(平成26)年3月、資本金8000万円)と、(株)セリン(TSRコード:260166227、法人番号:3060001014065、同所、登記上:同所、設立1956(昭和31)年10月、資本金8000万円)は4月21日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債は、カワセミが12億円、セリンが4億円で、2社合計16億円。

 カワセミは、(株)エイム・イワクラ(現:(株)セリン)が前身。自動車内装・外装部品や機械部品などの製造を手掛け、なかでも各種グリルやコンソール、エンブレム、プラスチックバイザー、バンパー、エアロパーツなどを主力として大手自動車メーカーに製品を供給し、2008年3月期には売上高34億5904万円を計上していた。しかし、工場開設に係る投資負担が重く、過剰債務に苦しんでいたため、2014年に事業をカワセミに移管。以降、セリンはカワセミの持株会社として事業を展開していた。
 カワセミは、既存の取引先を中心に事業を継続し、2018年3月期には売上高17億6893万円を計上したが、その後は取引先メーカーの生産調整などもあって業績は低調に推移し、資金繰りも悪化。さらに、「新型コロナウイルス」感染拡大により部品の調達が困難となったことや取引先メーカーの減産などから当社の業績も悪化し、2022年3月期の売上高は6億9964万円まで落ち込んだ。
 その後は、金融機関の全行同意による支援体制もあって経営の立て直しが図られ、2024年3月期には売上高約11億円を計上するなど回復の兆しが見え始めた。しかし、税金の支払負担もあり、資金繰りは依然として厳しく、当社単体では事業継続が難しい状況に陥っていた。
 こうしたなか、神奈川県の企業がスポンサーとして名乗りを上げ、存続会社として(株)エイム(TSRコード:860728560、法人番号:5020001154895、小山市、登記上:横浜市都筑区)を設立。2024年4月5日に同社へ事業を譲渡し、当社は清算処理を進めていた。 
 持株会社のセリンはカワセミの清算に伴い今回の措置となった。

(株)聘珍樓
  • 神奈川
  • 中華料理店経営
負債総額
12億1045万円
 

 (株)聘珍樓(TSRコード:017658390、法人番号:8020001115812、横浜市港北区新横浜2-2-8、設立2016(平成28)年4月、資本金5000万円)は5月21日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には相羽利昭弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、東京都新宿区新宿1-8-5)が選任された。
 負債総額は債権者800名に対して12億1045万円。

 明治17年創業の老舗中華料理店「聘珍樓」の運営会社(株)平川物産(旧:(株)聘珍樓、TSRコード:350252912、法人番号:5020001028752、横浜市港北区、登記上:東京都千代田区)が前身。横浜中華街の名店として全国的にも高い知名度を有し、同社はピーク時の2001年3月期に売上高118億5260万円を計上した。しかし、団体利用者や接待利用者の減少などを背景に経営が悪化し、同社は2017年3月に特別清算開始決定を受けた。
 当社が平川物産の店舗を引き継ぎ運営していたが、2018年には運営店舗のうち「聘珍樓横濱本店」のみを新たに設立した(株)聘珍樓(TSRコード:028031130、法人番号:7020001125911、横浜市中区、2022年4月破産)に移管。当社は「日比谷聘珍樓」「吉祥寺聘珍樓」「大阪聘珍樓」「小倉聘珍樓ANNEX」運営のほか、神奈川県内でレストラン・カフェ「SARIO」などを展開し、2019年3月期には売上高約63億円を計上していた。
 しかし、コロナ禍では苦戦を強いられ、売上減少とともに大幅赤字を計上。2024年3月期はやや復調し売上高46億6667万円を計上したが、食材費高騰・人件費上昇などにより1億7789万円の大幅赤字を計上し、債務超過額は16億1766万円に膨らんでいた。
 社会保険の支払猶予などを受けながら資金繰りを繋いできたが、これも限界に達し、今回の措置となった。

(株)リブディング
  • 埼玉
  • 防水・建築工事ほか
負債総額
11億5500万円
 

 (株)リブディング(TSRコード:314402209、法人番号:4030002020130、さいたま市浦和区仲町3-11-1、設立2001(平成13)年8月、資本金2000万円)は5月16日、東京地裁から破産開始決定を受けた。
 破産管財人には川畑大輔弁護士(日比谷見附法律事務所、東京都千代田区有楽町1-6-4)が選任された。
 負債総額は11億5500万円。

 下請受注を主体とする防水工事業者で、ウレタン防水やシート防水、アスファルト防水、FRP(繊維強化プラスチック)防水、塗装工事、タイル補修工事、シーリング工事などを施工していた。近年は個人住宅や共同住宅のほか、事務所ビル、商業施設、公共施設などさまざまな建築物の受注に注力。2019年3月期に2億6538万円だった完工高は2022年3月期に10億円を突破し、2024年3月期には28億9798万円に伸長していた。
 しかし、もともと採算性は低く、2024年3月期の営業利益は148万円にとどまっていた。売上規模の拡大に比べ内部留保に乏しく、支払先行の収支状況もあって借入金への依存度も高まり、支えきれず今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

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