• TSRデータインサイト

「石川県能登地方を震源とする地震」関連調査 企業数は3,006社「サービス業他」の売上比率が高い

 5月5日14時42分以降、断続的に発生している石川県能登地方を震源とする地震は経済活動への影響も懸念される。
 東京商工リサーチ(TSR)は、大きな揺れを観測した珠洲市、輪島市、七尾市、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町内に実質上本社(以下、本社)を構えている企業を独自データベースより抽出し、分析した。


 それによると、企業数は3,006社に達し、従業員数は2万1,409人(判明分)に及ぶ。これら企業の売上高合計は3,371億2,800万円(同)だった。
 産業別の売上高は、「サービス業他」の1,053億8,200万円(構成比31.2%)が最も大きく、次いで建設業の売上高790億4,200万円(同23.4%)だった。
 市町別では、七尾市内に本社を構える企業の売上高合計は2,030億3,300万円(構成比60.2%)で過半を占めた。次いで、輪島市は476億8,900万円(同14.1%)、鳳珠郡能登町は372億9,700万円(同11.0%)、珠洲市は310億6,200万円(同9.2%)だった。
 被災地では余震が続いており、その後の大雨で土砂災害の危険性が高まり、避難指示も発令された。また、国道249号線が落石で通行止めとなっており、サプライチェーンへの影響も避けられない。被災地域の経済停滞を長期化させないためにも、迅速な被害状況の把握、支援が求められている。

※本調査は、TSRが保有する企業データベース約400万社より、石川県珠洲市、輪島市、七尾市、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町に本社を構える企業を抽出し、業種、売上高、従業員数などを集計、分析した。


企業数は3,006社

 石川県珠洲市、輪島市、七尾市、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町に本社を構える企業数は3,006社だった。市町別でみると、七尾市1,401社(構成比46.6%)、輪島市627社(同20.8%)、鳳珠郡能登町414社(同13.7%)、珠洲市376社(同12.5%)、鳳珠郡穴水町188社(同6.2%)の順。
 七尾市から珠洲市、輪島市を経由して金沢市に至る国道249号線で落石が発生し、能登半島の大動脈に影響を及ぼしている。交通網の復旧が遅れるほど、サプライチェーンへの影響は深刻化する恐れがある。

売上高合計は3,371億2,800万円

 石川県珠洲市、輪島市、七尾市、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町に本社を構える企業の売上高合計は3,371億2,800万円だった。
 産業別でみると、「サービス業他」が1,053億8,200万円(構成比31.2%)で最も大きい割合を占めた。以下、「建設業」が790億4,200万円(同23.4%)、「小売業」が537億7,700万円(同15.9%)、「製造業」が437億3,100万円(同12.9%)と続く。
 市町別でみると、七尾市が売上高2,030億3,300万円(構成比60.2%)、輪島市が476億8,900万円(同14.1%)、鳳珠郡能登町が372億9,700万円(同11.0%)の順。

産業別 売上高構成比

従業員数は2万1,409人

 石川県珠洲市、輪島市、七尾市、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町に本社を構える企業のうち、従業員数が判明した企業の従業員数合計は2万1,409人だった。
 従業員数が最も多かったのは七尾市で1万2,394人。次いで、輪島市3,277人、鳳珠郡能登町2,321人、珠洲市2,030人、鳳珠郡穴水町1,387人の順。

産業別は「サービス業他」が最多

 産業別構成は「サービス業他」が1,174社(構成比39.0%)で最多。以下、「建設業」654社(同21.7%)、「小売業」371社(同12.3%)「製造業」258社(同8.5%)と続く。「サービス業他」には、旅館,ホテルや食堂,レストランなどが含まれている。
 また、能登地方には水産業に関連する練製品製造業や生鮮魚介卸売業、食料品小売業など地元有力企業も立地している。
 東日本大震災ではサプライチェーンが大きなダメージを受けて、深刻な部品不足に陥り、工場の稼働が停止した。今回の地震においても、工場が被害を受けなかった場合でもライフラインの寸断で、部品や食料品などが届かなくなり、工場の稼働率に影響をもたらす可能性がある。

産業別 企業数構成比

主な業種別は「総合工事業」が最も多い

 3,006社を業種別でみると、「総合工事業」333社(構成比11.0%)が最も多かった。業種別の売上高合計が最も大きかったのも「総合工事業」で552億8,354万円だった。
 


 今回の地震は、5日14時42分頃に石川県能登地方を震源とし、マグニチュードは6.5、石川県珠洲市で最大震度6強を記録した。能登町で震度5強、輪島市で震度5弱など広い範囲が大きな揺れに見舞われた。同日21時58分頃にはマグニチュード5.9の地震が発生するなど、余震とみられる揺れは断続している。
 人的被害のほか、その後の大雨によって土砂災害の危険が高まったことから避難指示が発令されるなど影響は続いている。また、主要幹線道路である249号線が落石により一部通行止めとなるなど交通網の乱れも余儀なくされており、サプライチェーンに支障が生じ、製造業など工場の稼働に影響が生じる可能性がある。
 ゴールデンウィークの真っ只中に発生した地震は、インバウンド需要の回復により観光業を中心に数年振りに活況となっていた旅館、ホテル、飲食業などに冷や水を浴びせた格好だ。交通網をはじめとしたライフラインの復旧が急がれるが、前年の地震で被災した企業や個人にとって再度の復旧に伴う負担増は計り知れず、総合的な支援策が求められる。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

第三者破産と告発、クリアースカイへの包囲網 ~ 「特別代理店」への注目も高まる ~

投資トラブルで揺れる合同会社クリアースカイ。4月7日に債権者から破産を申し立てられ、4月14日被害者弁護団から行政処分を求める告発を受けた 被害者弁護団は「クリアースカイと同様に特別代理店側にも破産申立や告発を行い責任を追及する」と語る。クリアースカイを巡る現状をまとめた

2

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

3

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

4

  • TSRデータインサイト

2025年度の「新聞販売店」倒産 過去最多の43件 止まらない部数減、人手不足・コスト上昇で逆風続く

2025年度の「新聞販売店」倒産は43件(前年度比43.3%増)で、2023年度の39件を抜き過去30年で最多を更新したことがわかった。 新聞の発行部数は、日本新聞協会によると2025年(10月時点)は約2,486万部(前年約2,661万部)で、2000年(約5,370万部)から半減(53.7%減)している。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

TOPへ