• TSRデータインサイト

コロナ禍の企業活動への影響、「すでに収束」は35.7%で過去最高 ~ 第27回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査 ~

 新型コロナウイルスの企業活動への影響について、「すでに収束した」と回答した企業は35.7%で、2020年8月に設問を設定して以来、最高となった。国内では3月13日から新型コロナ対策のマスク着用が個人の判断に委ねられ、5月8日には感染法上の位置づけが「2類相当」から「5類」に移行する。こうした流れとともに、経営を取り巻く環境も大きく変化しているようだ。

 ただ、今年3月の売上高がコロナ禍前の2019年同月を下回る企業は50.8%で、まだ半数がコロナ前の水準に達していない。昨年来の物価高による仕入価格の上昇を加味すると、販売(受注)量はコロナ禍前を下回っている可能性もある。

 大型連休明けに「5類」へ移行する5月8日以降の受注について、増加を見込む企業はブライダルや宿泊など対面型サービス業を中心に15.7%にのぼった。一方、減少見込みは2.9%で、出版やニュース供給などの「映像・音声・文字情報制作業」が12.5%、ドラッグストアや医薬品小売などの「その他の小売業」が10.5%だった。これまで企業向けコロナ関連支援は、コロナ禍の影響に重きが置かれていたが、今後は産業構造の転換やコロナ特需の反動にも配慮が必要だろう。


※本調査は4月3日~11日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答4,553社を集計分析した。
※前回(第26回)調査は、2023年2月21日公表(調査期間:2023年2月1日~8日)。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。


Q.新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)

「影響が継続」は46.1%、過去最低
 「影響が継続している」との回答は46.1%(4,553社中、2,100社)だった。過去最低の前回調査(2月)は60.4%で、14.3ポイント改善し5割を切った。また、「影響が出たがすでに収束した」は過去最高の35.7%(1,626社)だった。
 規模別では、「影響が継続している」は、大企業が 43.0%(588社中、253社)、中小企業は 46.5%(3,965社中、1,847社)だった。前回はそれぞれ61.6%、60.2%で、いずれも過去最低となった。
 2020年8月以来、「影響が継続」は全企業、大企業、中小企業ともに過去最低、「すでに収束」はそれぞれ過去最高となった。

Q.新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?

 

本調査結果の詳細はPDFファイルをご覧ください。

第27回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査[PDF:1.25MB]>

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

2

  • TSRデータインサイト

7月の「税金滞納」倒産16件 5カ月ぶり増加 物価高で苦悩する企業への納税支援が急務

2025年7月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は16件(前年同月比33.3%増)で、5カ月ぶりに前年同月を上回った。1-7月累計は95件(前年同期比14.4%減)と4年ぶりに前年同期を下回ったが、2016年以降の10年では2番目の高水準となった。

3

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 進む小規模業者の淘汰、難しいコスト削減 ~

建て替えや再開発に欠かせない解体工事は、不動産市況のバロメーターのひとつだ。建設業界ではゼネコンの好調な業績が目立つが、解体工事業の倒産が過去最多ペースをたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「トランプ関税」、日本の「景気を後退」が8割超 自社への影響が「マイナス」は約3割に半減

8月7日、日米間で合意した新しい「相互関税」が発動された。東京商工リサーチは、発動直前の7月30日~8月6日に「トランプ関税」に関する第3回目の企業アンケートを実施した。

5

  • TSRデータインサイト

破産開始のサクライ、「ここ10年は債務超過だったのかもしれない」

7月30日に東京地裁より破産開始決定を受けた(株)サクライ(TSRコード:290060095、東京都、製菓材料販売)の実態バランスシートは、長年に渡って極めて厳しい状況だったことが東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

TOPへ