• TSRデータインサイト

連絡難のユービーエム(株)の信用調査報告書を読み解く

信用格付は最低ランクの「F」

 今回は、1月31日から連絡難に陥っているユービーエム(株)(TSR企業コード:293588309)を取り上げる。
RC事業に進出以降、倍々で売上高を伸ばし、2022年4月期は105億円を計上していた。
急拡大の裏でどのようなリスクが生じていたのか――。


① 2023年1月中旬作成のTSR REPORT(信用調査報告書)によると、100段階評価で倒産予見性を表す「リスクスコア」は「4」だった。業界平均の「62」と比較しても非常に低い。「4」の向こう1年間の倒産確率は3.96%だ。

② スコア履歴をみると、2022年9月に「13」から「6」へ下落し、12月に「4」へ再度低下した。また、「評点」は数年前より「49点」以下が続いていた。この結果、総合評価(評点とリスクスコアのポジション)は「F」と最低格付だった。

UBM

③ 「裁判情報」では、2021年に損害賠償を求める訴訟が東京地裁に起こされたと記載している。本文では、和解により1,500万円の支払い義務が生じたこと、23年4月期に特損計上を余儀なくされる可能性があることを示唆している。

④ 「営業収支状況」では、「2022年12月頃に支払いが一時滞った」との情報を記載している。また、その直前の2022年7月、代表者の自宅不動産に新たな担保が設定されていた。このため、担保余力に留意点があることを強調している。

⑤ 2021年以降、訴訟や担保設定、支払い遅延の流れをみると深刻な経営状況が浮かび上がってくる。

UBM


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年2月8日号掲載予定「注目企業の信用調査報告書」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ