• TSRデータインサイト

ジェネリック大手の日医工、事業再生ADRを申請

 5月13日、ジェネリック(後発薬)メーカー大手の日医工(株)(TSR企業コード: 590046195、富山県、東証プライム)は事業再生ADRを申請し、受理されたと発表した。
 日医工によると、メインバンクの三井住友銀行から十分な融資枠を迅速に確保しているとし、ファンドから最大200億円の出資に関する基本合意書を締結した。
 基本合意書を締結したのは、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第参号投資事業有限責任組合(TSR企業コード:693795123、千代田区)。日医工に対して、最大200億円を出資する意向があるという。

日医工1


2022年3月期は大幅赤字

 同時に発表した2022年3月期の連結業績は、売上高(売上収益)が1790億6000万円(前期比4.9%減)、営業利益が1099億7000万円の赤字、当期純利益が1048億7400万円の赤字だった。資本合計は139億1500万円(前期1124億3500万円)と赤字により財務内容が悪化した。同期末時点の借入金は1626億3100万円。
 日医工をめぐって、富山第一工場での品質不正が発覚。昨年3月に富山県から約1カ月間の操業停止処分を受けていた。また、9月に(株)メディパルホールディングス(TSR企業コード: 660021277、東京都、東証プライム)へ52億円の第三者割当を実施するなど、再建を目指していた。しかし、薬価引き下げや品質問題に起因する業績悪化、北米事業での減損損失の計上などで赤字が拡大。事業再生ADRによる再建を選択した。

担当者との一問一答

5月13日午前、日医工の担当者が東京商工リサーチの取材に応じた。主なやり取りは以下の通り。

―事業再生ADRを申請したのは1社のみか?
日医工のみ。子会社は手続きの対象範囲外だ。

―今後の手続きのなかで子会社や関連会社が追加される可能性は?
ない。

―三井住友銀行の融資枠について、金額は?
金額は非開示。今後の運営に十分な資金を確保できる。

―今回のADR申請は銀行の薦めがあったのか?
当社側の判断で申請した。

―事業再生ADR手続きの対象債権者数は?
非開示。取引のある金融機関だ。

―会社のホームページに金融機関(北陸銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行、日本政策投資銀行、農林中央金庫、北國銀行、富山銀行)が掲載されているが?
取引のある金融機関を掲載している。

―対象債権者に債務免除を要請する予定は?
現時点ではコメントできない。債権者の方々にお話ししていない段階だ

―事業再生ADR手続きは、最低でもメイン、準メインとの事前調整が一般的だが?
個別に事前にお話しをさせていただいている。

 

―対象債権額は?2022年3月期の連結決算では約1600億円の借入金がある。
開示できない。

―事業再生ADR成立の見通しは?
これから債権者にご同意いただいて再生計画を進める。

―昨日(5/12)に申請を検討している、との報道がでた。一般債権者の反応は?
問い合わせがあり、個別に回答している。本日正式に開示したので、取引のある企業には個別に連絡して改めて説明する。

ADRリスト(5月)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ