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人気過熱のジャパニーズウイスキー、業績好調も原酒不足がネックに

 日本のウイスキーの歴史は約100年。世界5大ウイスキーに数えられる「ジャパニーズウイスキー」にも、長らく冬の時代が続いた。
 そんな「ジャパニーズウイスキー」の評価が海外で高まり、ウイスキーメーカーの業績は好調だ。だが、過熱する人気で原酒が不足し、ファンのつなぎとめが課題となっている。


 国内外で人気が高まっている「ジャパニーズウイスキー」だが、長期熟成の原酒が不足し、「山崎」や「竹鶴」など一部人気ウイスキーは販売休止や出荷制限に追い込まれている。
  品薄の人気ブランドは、オークションサイトで数十万円を超える価格で取引されるほど。この人気に便乗し、外国産原酒のみのウイスキーを「ジャパニーズウイスキー」として販売する輩も出現するなど、ウイスキー人気が過熱している。
  サントリーホールディングスの担当者は、「これまでも出来る限りの設備投資を行っているが、ウイスキーは熟成に時間を要し、すぐに原酒不足が解消されるものではない。しばらく時間が必要だろう」という。
  原酒不足で、好調だったウイスキーメーカーの業績は一服感も見え始めた。
 

 ウイスキーは麦などの穀物を原料にして、発酵や蒸留を経て樽で熟成する。ウイスキーで10年と表示されているのは、少なくとも10年以上、樽で熟成した原酒のみで作られる。
 このため供給量を超えた需要増が続くと、原酒が足りなくなる。だが、10年物は10年以上、30年など長期熟成は気の遠くなる時間が必要で、すぐに増産できない宿命にある。
 国内唯一の洋酒メーカー団体の日本洋酒酒造組合調べの「ウイスキー国内出荷(移出)数量」によると、2007年の出荷量は年間6,091万リットルまで落ち込んでいた。
 ところが、2009年頃から「ハイボール」の人気が高まると、2010年には8,127万リットルまで回復。その後、ブームの一巡で落ち着いたが、2014年にNHKでニッカウヰスキー創業者をモデルとした「マッサン」が放映されると、再びウイスキー人気が高まった。 海外でも「ジャパニーズウイスキー」が高く評価され、国内外での人気の高まりで、 2019年の出荷量は1億5,943万リットルと2007年の2.6倍(161.7%増)に増えた。
 2020年は品目間の移動で1億3,679万リットルに減少した。新型コロナによる飲食店の休業や原酒不足による出荷減も背景にあるが、組合担当者は「品目移動を考慮すると大きな減少ではない」との見方を示している。
 

ウイスキー国内出荷(移出)数量推移

人気が過熱する「ジャパニーズウイスキー」

 長期熟成の人気商品は、ネット通販やオークションで定価の数倍の価格で取引されている。ウイスキーファン以外に、転売目的の買い占めも蠢いているようだ。また、外国産原酒のみを使用したウイスキーを、「ジャパニーズウイスキー」と偽って輸出する業者も現れ、「ジャパニーズウイスキー」ブランドの信用が揺らぐ事態も懸念され始めている。
 このため日本洋酒酒造組合では今年2月、ジャパニーズウイスキーの定義を初めて取り決めた。日本国内で採水された水に限る。日本国内の蒸留所で行う。700リットル以下の木製樽に詰め、3年以上日本国内で貯蔵する。こうしたルールを制定し、定義に外れたウイスキーは「ジャパニーズウイスキー」などの特定の用語を使用できないようにした。
 この定義により「ジャパニーズウイスキー」を名乗れないブランドも出てくるが、「ジャパニーズウイスキー」のブランド価値につながるだろう。今年4月1日から運用が始まった。

ウイスキーメーカー31社は好調維持

 3期連続で比較できるウイスキーメーカー31社の業績を分析した。
 31社の売上高(合計)は、前々期が4,767億3,900万円、前期は5,024億5,500万円(前の期と比べて5.3%増)と売上高を伸ばした。最新期は4,865億6,600万円(同3.1%減)とコロナ禍での飲食店の休業、時短営業や原酒不足で減収に転じた。
 当期純利益(合計)は、前々期が382億3,800万円、前期が369億1,400万円(前の期と比べて3.4%減)と減益だった。最新期は378億3,000万円(同2.4%増)と復調した。
 ウイスキーメーカーは、大手では「山崎」「白州」などのサントリースピリッツ、「竹鶴」「余市」などのニッカウヰスキーなどがある。売上高50億円以上は10社(構成比32.2%)にとどまり、売上高10億円未満も9社(同29.0%)と混在する。
 長年の熟成や技術も必要で、業歴100年以上が15社(同48.3%)と半数を占め、老舗が多いのもウイスキーメーカーの特徴だ。

ウイスキーメーカー31社の業績


 洋酒小売店の店主は、「ジャパニーズウイスキーは仕入が困難だ。円安でスコッチウイスキーも価格が上がり、長熟ウイスキーは昔みたいに気軽に買えなくなった」と、過熱するウイスキー人気に困惑を隠さない。
 サントリーは3月30日、人気の「白州12年」を限定で再発売した。サントリーHDの担当者は、「『白州12年』はブランドの原点で、『白州』ブランドの価値向上のためにも中長期的に継続してお客様との接点を持ち続けることが重要と考える。そのため、需給に十分に対応できない中であるが、出荷調整を継続しながら発売させていただく」と語る。
 少しずつ原酒不足の解消も見え始めてきた。人気が長期低迷した時期にもメーカー各社は熟成を続けていた。そのお陰で、入手は困難だが、今でも長熟ウイスキーが飲める。さらに設備増強で、将来は高根の花の30年物も正規価格で飲める時が来るかもしれない。
 芳醇な香り、コクのある味わいの「ジャパニーズウイスキー」。糖質ゼロで飲み方もバリエーションが広がる。ウイスキーブームだけでなく、オールドファンからにわかファンまで虜にしながら、さらに進化を続けている。

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