• TSRデータインサイト

ヴィア・ホールディングスが事業再生ADR=「やきとりの扇屋」など運営

 東証1部上場で、焼き鳥居酒屋「やきとりの扇屋」、カフェ「パステル」などの外食事業を手掛ける(株)ヴィア・ホールディングス(TSR企業コード:290001692、以下ヴィアHD)は2月15日、事業再生ADRを活用して再生に取り組んでいることを明らかにした。

 申請は2020年12月10日付。事業再生実務者協会へ事業再生ADRを申請し受理され、同日付で取引金融機関に借入金の残高維持を求める一時停止の通知書を送付した。
 12月24日に第1回債権者会議を実施し、一時停止期間を2021年4月20日開催予定の事業再生計画案の決議までとすることを金融機関より同意を受けている。また、今後の資金繰りに備え、メインバンクのりそな銀行から9億7000万円の融資枠を確保していることも公表した。

 ヴィアHDは新型コロナ感染拡大の影響を受けて業績が大幅にダウン。2021年3月期第3四半期決算の連結売上高は、前年同期比49.2%減の96億8500万円にとどまった。店舗の減損などの特別損失を計上したことで最終赤字は38億8900万円に膨らみ、同期末時点で26億7300万円の債務超過に転落した。
 事業再生ADRは金融機関のみを対象とし、仕入先など一般取引先への影響はない。

 ヴィアHDは東京商工リサーチの取材に対し、「ADR手続自体はもともと公表する義務はないと捉えていたが今回、公表が適切と判断したためこのタイミングとなった。対象となる債権額や金融機関、具体的な再建案などについては現時点ではリリース以上の内容を公表できない」とコメントした。
 なお、2020年12月末時点のヴィアHDの連結決算上の借入金総額は82億7600万円(短期借入金8億円、一年内返済予定の長期借入金74億7600万円)。リリースによると、経営改善に向けたグループの自助努力に加え、債務超過を解消するための資本増強を伴う財務体質改善策の具体的な検討を行っている。

ヴィアHD


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年2月17日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ