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アパレル小売、コロナ禍で夏以降販売に明暗 ニューノーマル突入か

  新型コロナウイルス感染拡大による消費マインドの低下は深刻で、上場アパレル各社の業績は厳しい状況が続いている。
 百貨店向け上場アパレル11社の決算は、固定資産売却益を計上した三共生興(株)(TSR企業コード:570077575)を除く10社が直近四半期で赤字を計上した。また、決算期を変更した(株)三陽商会(TSR企業コード:290059666)を除く10社は直近四半期で減収だった。まさに各社は、本業で稼げないアパレル苦境に直面している。
 その一方で、新型コロナの緊急事態宣言が終了した6月以降、販売形態の違いで回復度合いに明らかな温度差が生じている。

緊急事態解除で一旦盛り返すが…

 アパレル各社の月次速報などによると、緊急事態宣言が発令された4月から5月、テナント出店している各施設の休業で各社の売上は最低を記録した。(株)ワールド(TSR企業コード:662058453)、(株)TSIホールディングス(TSR企業コード298655195)、三陽商会の百貨店向け3社を含む主要12社では、(株)ワークマン(TSR企業コード:270196900)、(株)しまむら(TSR企業コード:310015561)を除く10社が4月、5月のいずれかで前年比5割台以下まで売上が落ち込んだ。最も落ち込んだ三陽商会は前年比19%まで落ち込み、実店舗の休業が大きな痛手となった。
 緊急事態宣言明けの6月は4月、5月の反動で各社、売上が前年同月と同水準またはそれ以上に盛り返した。ワークマンの前年比144.0%をはじめ、(株)ファーストリテイリング(TSR企業コード:770051693)が同126.2%、しまむらが同127.4%と、郊外店や低価格帯で強みを持つ企業が健闘した。
 テレワークの急速な浸透も変化をもたらした。オフィス向けは不調だったが、在宅時間の増加で値ごろ感、機能性に重きを置くワンマイルウェア(ホームウェアとタウンウェアの中間)に需要が集中した。
 また、中価格帯ながら、「UNITED TOKYO」「STUDIOUS」などの若年層向けショップをファッションビル等に店舗展開する(株)TOKYO BASE(TSR企業コード:297667904)も前年比111.6%と盛り返した。

キーワードは「郊外」と「EC」

 月次を開示している百貨店向け3社(ワールド、TSIホールディングス、三陽商会)の売上推移は、いずれも4月に底を打ち、6月には前年比8~9割に回復した。だが、8月も8割台前半にとどまり、似た動きをたどっている。
 6月から3カ月連続で前年比100%以上をキープするTOKYOBASEは、EC率は37.2%(2020年2月期決算時点)だ。上場アパレル小売では最高水準を維持している。
 一方、EC率が1割~2割台前半にとどまる(株)ユナイテッドアローズ(TSR企業コード:294012338)、(株)バロックジャパンリミテッド(TSR企業コード:297264397)は、6月の売上がともに前年比95%程度だった。
 各社が盛り返した6月、売上が前年比80%台にとどまった(株)タカキュー(TSR企業コード:290308623)、ヤングカジュアルをショッピングモール中心に展開するパレモ・ホールディングス(株)(TSR企業コード:401115500)は、EC率が2020年2月期の本決算でそれぞれ3.4%、2%以下と、5%を切る低水準だった。
 タカキューは7月、8月とも売上が前年比70%台、パレモHDは8月が同70%台と苦戦が長引く。EC率の高さが、今夏以降の売上復調のカギの一つであることを示唆している。

すでに“ニューノーマル”突入か

 長引くコロナ禍で、日本百貨店協会の8月の売上高は前年同月比22.0%減の3231億2484万円と厳しい数字だった。前年同月比マイナスは消費増税前の駆け込み特需の生じた2019年10月から11カ月連続となった。特に、人の往来が多い東京、大阪、名古屋の三大都市圏の店舗は客足や、売上の回復に時間を要している。また、都市部の感染者数が高止まりしていることも、逆風になっている。
 いみじくもコロナ禍で、郊外店やEC主力のアパレル企業は堅調な売上を維持し、アパレル業界もヤング層を中心に“三密回避”の巣ごもりショッピングが定着してきた。
 従来のアパレル業界を牽引した高価格帯の重衣料が動く年末、“三密回避”の新しい潮流で消費者がどう動くのか。コロナ禍で迎える初めての冬は、アパレル業界にとって将来を占う冬になるかも知れない

アパレル月次比較20200925

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