• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「特例リスケ」窓口相談が過去最多ペース、出口戦略の多様化も重要に

 コロナ禍で、中小企業向け資金繰り支援制度の利用が活発だ。中小企業再生支援協議会(支援協)では、4月から8月までの窓口相談(1次対応)件数が累計2,661件に達した。2019年度(4-3月)は2,247件だったが、わずか5カ月で昨年度の件数を突破した。2003年に支援協が設置されて以降、最多は2013年度の4,128件で、今年度はこれを大幅に上回ることが確実になっている。
 支援協は4月1日から、新型コロナウイルス感染拡大による事業者の資金繰り支援を目的に、「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール」(特例リスケ)の運用を開始した。開始前の3月の窓口相談は169件だったが、4月以降は窓口への「駆け込み」が大幅に増加。特例リスケは、事業改善の可能性を支援決定の判断材料とせず、足元の資金繰り破たんを防ぐための計画を策定し、1年間のリスケや新規融資に向けた金融機関との調整に重きを置いている。コロナ禍で傷んだ企業の資金繰り支援として機能し、受け入れられている。
 新型コロナの影響は長期化が予想され、今後は抜本再生や廃業支援を含めた「出口戦略」も重要となってくる。支援協では、一定の資産を手元に残すことが可能な「経営者保証ガイドライン」を活用した支援にも取り組んでいる。ただ、再チャレンジを念頭に置いており、廃業を必ずしも出口としているわけではない。コロナ支援で過剰債務に陥った企業の債務解消への道筋と同時に、代表者が高齢化する中で再チャレンジに依存しない企業版「終活」支援も必要になりそうだ。

特例リスケ


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年9月14日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ