• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

裁判資料で明らかになった「架空循環取引」

 大手リース会社が、事業会社を相手に提起した裁判が注目を集めている。訴因は、事業会社による詐害行為の取り消しだ。この中で、昨年末に発覚した複数の企業が絡んだとされる「ある取引」に言及している。
 裁判記録によると、この取引は「複数の債権者による詐欺を理由とした告訴がなされている経済犯罪の事案であり、その中核をA社が担っていた。A社は2008年頃から架空循環取引を行っていた」と指弾している。

「基本契約書(ウソ)」との記載

 取引スキームを裁判資料より抜粋すると以下のようになる(以下、伏字は東京商工リサーチによる)。

1. A社は経営コンサルタントとコンサルティング契約して経理業務を委託。A社の経理業務は本社ビル4Fで実施され、会計書類作成は経営コンサルタントらが行っていた。

2. A社は、大手家電量販店の名義で自己またはB社、C社の口座に振り込み、外形的に大手企業との取引があるように見せた。振込名義人は「(カ)●●(TSR注:大手家電量販店)」などとしていた。または、B社らから同様の手法でA社の口座に振り込みを受けた。

3. そのうえで、A社やB社、C社は振込履歴に併せて計算書類や架空の契約書類を作成し、金融機関に提出して多額の融資を受けた。A社の取締役から経理資料の任意提出を受けたところ、「基本契約書(ウソ)」(原文ママ)と記載されたあからさまな偽造書類が存在した。

4. A社は偽装した書類、振込履歴、通帳の記載を利用して大手企業と継続的な取引があるように装い、ファクタリングを利用。将来生じる債権を第三者に対して譲渡し、金銭を詐取した。取引確認のため、譲渡債権の債務者とされる大手企業に対して架電されることもあるが、A社はこのような場合に備えて、大手家電量販店名義の名刺を作成し、架空の電話番号を記載。偽の従業員に対応させていた。また、大手量販店の虚偽のオフィスで第三者に取引の経緯を説明した。

5. A社は巧みに循環取引を繰り返していた。2019年10月以降、資金繰りに窮し、詐欺を繰り返した結果、多くの債権者から請求を受け音信不通となった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年7月22日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ