• TSRデータインサイト

「オーナー商法」で破産したジャパンライフ 一般債権者へ配当可能性が浮上

 高齢者を中心に約7,400人の被害者を巻き込み、2018年3月、東京地裁から破産開始決定を受けた「オーナー商法」のジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、元会長: 山口隆祥氏)。第4回債権者集会が6月10日、都内で開催され、初めて一般債権者へ配当の見込みが生じたことが明らかになった。新型コロナウイルス感染防止のため、集会は会場の席数を大幅に減らして開かれ、山口元会長は3回連続で欠席した。
 債権者や関係者への取材によると、第4回債権者集会で「一般債権者に配当の可能性が出てきた」と説明があったという。ジャパンライフが所有する不動産の売却、売掛金の回収、税金関連の回収も浮上している。
被害弁護団は、オーナー商法は実態がなく、取引は無効と主張。一般債権者がジャパンライフとの契約を解除すると、ジャパンライフが納付した消費税が税務当局から還付される可能性が出てくる。1契約あたり5%や8%の消費税率分が還付され、ジャパンライフの資産に組み込まれると配当の可能性や配当額が高まるとみている。
 第3回債権者集会まで破産管財人が換価を進めていたが、回収資産が税金などの公租公課や労働債権に必要な約8億円を上回らず、一般債権者への配当は難しいとみられていた。
 ジャパンライフの政治家やマスコミへの献金問題や、「桜を見る会」に山口元会長が招待されている。さらに2019年4月、警視庁や愛知県警など6都県の合同捜査本部が特定商取引法違反の疑いで捜査しており、「捜査は最終段階に近い」(関係者)とみられる。

ジャパンライフの山口元会長

‌ジャパンライフの山口元会長

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年6月11日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ