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金融庁、中小企業金融円滑化法の枠組みを事実上復活へ

新型コロナウイルス感染拡大をうけて

 3月6日、金融庁は新型コロナウイルス感染拡大による企業への資金繰りを支援するため、麻生太郎・金融担当大臣の談話を公表した。この談話の中で、「既往債務の元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること」とした。これにより2013年3月に終了した中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)の枠組みが事実上復活することになる。
 同時に、金融円滑化法の終了後も金融機関から任意報告を求め、2019年3月期で休止した「貸付条件の変更実施状況の報告」(リスケ報告)を復活させる。リスケの申込や実行、謝絶件数を金融機関に報告させ、取りまとめ結果を公表し、各金融機関の取り組み状況を確認していく。金融機関にはリスケへの取り組みの強力なインセンティブになる。
 2019年3月のリスケ報告休止を前に、金融庁の担当者は東京商工リサーチの取材に対し、「経済情勢の急変で金融円滑化が必要な局面も否定できず、(リスケ報告は)廃止でなく休止とした」とコメントしていた。

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【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

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2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

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1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

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船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

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1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

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