• TSRデータインサイト

東京大学と東京商工リサーチ、政策形成に関する共同研究契約の締結を発表

 国立大学法人・東京大学大学院経済学研究科と東京商工リサーチ(TSR)は9月13日、東京大学(文京区)で会見を開き、実証分析に基づく政策形成の共同研究について契約締結を発表した。


 TSRが保有する企業ビッグデータを活用し、東京大学大学院経済学研究科付属政策評価研究教育センター(CREPE)が政策効果を測る実証分析に基づく政策形成(Evidence Based Policy Making:EBPM)を研究する。
 限られた予算で、効果的な政策を実施することが求められており、研究はCREPEの実証経済学の知見とTSRの企業データを融合する。
 同時に事業法人向けの分析を行い、日本企業の生産性向上に貢献する研究も行う予定。
 会見で、東京大学大学院経済学研究科長・渡辺努教授は「新しい知見を得る努力をして学術研究に貢献していきたい」と意義を強調した。また、TSRの河原光雄社長は「正確なデータを提供し、社会的に重要な政策形成に協力していきたい」と語った。

左から東大・川口教授、渡辺教授、TSR・河原社長、柳岡課長

‌左から東大・川口教授、渡辺教授、TSR・河原社長、柳岡課長

 渡辺教授は、共同研究を料理に例えて、「データが食材で、良い食材から上手に料理するのが私ども。共同でおいしい料理ができる」と解説。これを受けて河原社長は、「素晴らしい(料理の)技があっても食材が古ければお腹を壊す。新しい正確なデータを提供したい」と一層のデータ構築への意欲を示した。
 会見に同席したCREPEセンター長・川口大司教授は、可能となる研究事例として都市の形成や、政策の企業間の波及効果、経済ショックの企業間取引への影響などをあげた。
 川口教授は、「企業データを使って実証分析ができる」と、EBPM研究のスピードアップへの期待を語った。


  渡辺教授は、「政府や地方自治体にとって良いインプットとなるような研究成果を出したい」とEBPMは地方創生にも活用されそうだ。会見に出席した記者から、企業データの契約内容を問われると川口教授は「(TSRから提供いただく企業情報は)貴重で、機微情報なのでデータ管理は厳重に行っていく」と慎重な口ぶりで説明した。
 また、TSRの柳岡優希・経営企画室課長も「データ分析ビジネスのニーズが高まっている。最先端の研究を間近で感じられることが重要」と社会貢献への意気込みを語った。
 CREPEは、実証・理論分析を行う人材の育成のほか、質の高い政策評価も行なう意向だ。
 さらに企業データなどを整備し、新しい研究手法の開発も進め、政策や社会にどう影響していくか評価まで踏み込んだ研究を進めていく予定。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年9月18日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「建設コンサルタント」 の業績拡大 ~ 災害対策や老朽化修繕など、安全対策が寄与 ~

2025年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損による大規模な道路陥没事故から1年が経過した。事故を機に普段何気なく利用するインフラの老朽化を身近に感じた人も多いだろう。工事を直接担うのは建設会社だがその裏で設計監理する土木工事の「建設コンサルタント」の業績が好調だ

2

  • TSRデータインサイト

病院経営の法人、採算悪化で赤字法人が5割に迫る 収入は微増、利益はコロナ禍から1兆円以上の大幅減

全国で「病院」を経営する6,266法人の直近決算は、約半数にのぼる3,021法人(構成比48.2%)が赤字だったことがわかった。赤字法人率はコロナ禍以降、3年連続で上昇した。

3

  • TSRデータインサイト

2月の「人手不足」倒産 「求人難」が3.3倍に急増 従業員の採用と賃上げで中小企業は苦悩強まる

2026年2月の「人手不足」倒産は47件(前年同月比147.3%増)で、2025年9月の48件以来、5カ月ぶりに40件台に乗せた。2026年1-2月累計は83件(前年同期比45.6%増)で、同期間では調査を開始した2013年以降、最多だった前年の57件を大きく上回り、増勢を強めている。

4

  • TSRデータインサイト

2月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は27件 返済開始の最後のピークを控え、今後増勢の懸念も

2026年2月の「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を利用した企業の倒産は、27件(前年同月比18.1%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。

5

  • TSRデータインサイト

2月の「税金滞納」倒産は10件、3カ月ぶりに減少 10件すべて破産、税金滞納が経営再建の障害に

2026年2月の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、10件(前年同月比33.3%減)だった。3カ月ぶりに前年同月を下回り、2月としては2年連続で減少した。

TOPへ