• TSRデータインサイト

「民泊」関連業者が破産、民泊ゴミを会社に持ち込みネズミが発生

 2018年6月、住宅宿泊事業法(民泊法)が施行された。これにより「民泊」は、自治体などへの届出登録で営業できるようになった。民泊は増加する訪日外国人客を中心に利用が広がるが、一方で新たな問題も起きている。
6月7日、合同会社あす・なろ(TSR企業コード:027771210、台東区)が東京地裁から破産開始決定を受けた。同社は、民泊施設から寝具などのリネン製品を引き取り、本社内で洗濯、乾燥していたほか、民泊施設のゴミも回収していた。だが、回収したゴミを会社内に放置したことでネズミが大量に発生、ビルの関係者から立ち退きを迫られた。

施設から持ち帰ったごみによりネズミが発生

 あす・なろは、2018年3月の設立で、民泊施設で使用されたリネン製品のクリーニング、建物管理を手がけていた。同社が入居する台東区内のビルの関係者は、東京商工リサーチの取材に「(最初は)民泊運営をサポートすると聞き、新しい取り組みを微笑ましくみていた」と、当初は応援していた。
だが、時間が経つにつれ、事務所内に洗濯機を持ち込み、頻繁に洗濯するようになった。さらに、「(民泊)部屋で出たゴミをビルに持ち帰るようになった」という。「次第に量も増え、これまで見たこともなかったネズミが出るようになった」と憤りを隠さない。
傍若無人な振る舞いはそれだけではなかった。管理会社に無断で事務所の壁に穴を開け、何かの工事を始めるなど、次々と問題行為が明らかになった。退去後、ネズミ駆除と消毒を行いようやく原状復帰された。
こうした挙句、事務所での営業継続が困難となり退出から1カ月後、破産を申請した。

関連サービスへの整備が急務

 あす・なろが本社を置く台東区には、国内有数の観光地である浅草がある。訪日外国人客の増加に伴い、民泊施設も急速に増えている。同区内の登録施設数は、2018年10月末で319件が、今年6月14日時点で573件と約2倍に増えている。
 民泊施設の増加で、施設利用者と周辺住民とのトラブルはこれまで各地で散見されていた。だが、あす・なろの破産は、成長市場に商機をあて込んだ「民泊」周辺業者のズサンな実態も浮き彫りにした。2019年9月のラグビーワールドカップ開催に続き、2020年には東京五輪、パラリンピックも開催され、ますます訪日外国人客は増加する。手軽に宿泊できる民泊のニーズはさらに高まる。民泊サービスのルール整備が、急務になっている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年3月5日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ