退任予定のサマンサタバサ寺田社長、「今後も事業推進で関わる」
ハンドバッグ「Samantha Thavasa」などを展開する(株)サマンサタバサジャパンリミテッド(TSR企業コード:293842310、東京都、マザーズ、以下サマンサ)の2019年2月期決算説明会が23日、都内で開かれた。
新規出店の抑制など事業再編が影響し、連結売上高は277億4400万円(前期比13.7%減)と、2013年2月期(274億8000万円)の水準まで落ち込んだ。損益は、営業利益6億6400万円の黒字(前期は16億5300万円の赤字)を確保したが、繰延税金資産の取り崩しや店舗撤退による減損が影響し、最終利益は13億3700万円の赤字(同36億6900万円の赤字)を計上した。
新社長に就任予定の藤田雅章専務は今期(2020年3月期)の出店予定を「数店舗にとどまる」とコメント。当面、「既存店の強化に専念する」と述べた。
寺田社長、退任後も東南アジア事業を推進
4月12日に寺田和正社長の退任が発表されてから初めての記者発表で、約80席用意された記者席は満員となった。
寺田社長は自身の退任の経緯について、「最終赤字を出し、その責任で退任と思われる方も多いようだが逆だ。前期(2019年2月期)の構造改革で、前々期に出した大きな赤字から営業黒字に改善できた。ここで新たな組織改革が必要だった」と述べた。その上で、「突然思いついて決めたわけではない。今がオペレーション、マネージメントをやってきた“寺田一強体制”を脱却させるタイミング」と説明した。
取締役からも退任するが、サマンサの経営には引き続き関与し、サマンサブランドの東南アジア事業推進を担っていくという。
寺田氏が保有するサマンサ株の一部は、紳士服大手の(株)コナカ(TSR企業コード:350617880、横浜市、東証1部)の湖中謙介・代表取締役社長へ譲渡される。湖中氏はサマンサの社外取締役に就任する予定だ。この点について、「湖中氏とは10年来の関係。サマンサの事業に共鳴いただいての決断」(寺田社長)と述べた。
2020年2月期は増収増益を予想
2019年2月期の事業部門別の売上高は、「バッグ」が前期比18.6%減の173億8500万円、「ジュエリー」が同11.1%減の16億4000万円だった。一方、アウトレットやゴルフなどの「その他」は、27億6500万円で同10.3%増加した。
今期(2020年2月期)の連結業績予想は、売上高が前期比0.5%増の278億8300万円、最終利益は3億600万円の黒字を見込む。
初のコスメ商品となるボディートリートメントや、最先端素材を使用した新作バッグなどの投入で下落基調が続く業績に歯止めをかける方針だ。
店舗展開については、「大掛かりなスクラップは前期でほぼ終了した」(藤田専務)というものの、今期も数店舗にとどまる出店が続くサマンサ。期待の海外市場開拓も「今年はリサーチに専念する年」(同)として、“守りの姿勢”で臨む。サマンサは本格復活の端緒をつかむまで、我慢の経営が続きそうだ。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年4月25日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)