• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

口座開設は10代から90代も ローソン銀行・山下雅史社長 独占インタビュー(前編)

 2018年10月15日、大手コンビニエンスストア、ローソンの子会社の(株)ローソン銀行(TSR企業コード:022428933、品川区)が営業を開始した。まずは、ATM(現金自動預け払い機)事業のサービス強化や、インターネットバンキングサービスの提供などを開始。キャッシュレス決済の導入など、ローソンの店舗を中心に、新しい金融コミュニティを構築するプラットフォーム・ビジネスの展開を目指している。
 超低金利が続くなか、銀行業への新規参入は実に7年ぶりとなる。東京商工リサーチ(TSR)は、金融業務に風穴を開けるローソン銀行・山下雅史社長に事業展開や今後の展望を聞いた。

-営業開始から2ヵ月が経過したが、世間の反応は?
 10月15日の営業開始から2ヵ月余りが経過した。思っていたより多くのお客様から反応があった。今さら銀行を作って、しかも、シンプルな商品構成。金利を高くした訳でもなく、新しいお客様に来ていただくのは難しいと思っていた。営業開始後、予想を上回るような数字で、2週間で6,000口座。12月に入ってからも口座開設は合計で2万を超えた。銀行口座を作ってくださる方がこんなにいるということにまず驚いた。コンビニの銀行なので「都市圏で若い人」が中心という想定をしていたが、実際の年齢層は10代から最高は90代まで非常に幅広い。エリアは首都圏を含め大都市圏が中心かと思っていたら、意外と地方のお客様も万遍なくいる。年齢層のボリュームゾーンは40代、50代。しかも男性。これは非常に驚きだった。こういうお客様のニーズはあまり想定していなかったので、何を望まれているのか冷静に分析をしたうえで、新しいビジネス展開をしていかなくてはならない。
 高齢の方の新規口座の開設が多いことも想定外だった。住所や地域をみると、たぶん今まで利用していた金融機関や郵便局より近いところにローソンが存在し、それが「ローソンが銀行になるなら年金の受け取りはここでもいいよね」となっているかと想像している。

-想定を超える反響の理由は?
 銀行に対する期待が世の中ではまだあるということ、コンビニならではのお客様のニーズが拾われていることがある。ATMが当面の主業になるので、10月15日から認知をあげていくキャンペーンを実施した。ATMを利用したら「からあげクン」が半額になるクーポンを出したが、話題になった。ATMの利用件数も、前年対比での減少を下支えする効果があった。
 銀行を開業後、皆さんが一生懸命盛り上げてくれたこともあり、認知度は上がってきていると感じる。開業と同時に新千歳空港で店外ATMを開始し、12月14日には新御茶ノ水駅構内にも開設した。会社が入居する大崎の「Think Park Tower」の中にも1台出した。ATMは今までローソンの店の中だけというのが基本だったが、少しずつ外に出していくことで、皆さんにも接点を増やしてもらえる機会を作っていく。

-ATMをどんどん増やしていく方針?
 お客様が使いやすい、いい場所であれば、しっかり吟味してATMを出していきたい。出しやすいところは、逆に使いにくかったり、人が来なかったりするので、そこは、お客様の利用にしっかり結びつくところを選んでいく。

-代表的な取り組みは?
 ATMに関しては意外に知られていないので、引き続き認知を上げていく。テレビ、Web、店頭でクーポンを活用したキャンペーンの告知を行った。広告キャラクターを務めるサンドウィッチマンさん(お笑いタレント)は、当初金融のイメージがないという見方もあったようだが、好感度も高く、親和性のある人柄が好まれた。ローソンとの親和性では、商品クーポンの取り組みも効果絶大だった。今は全国で同じクーポンを出しているが、提携金融機関とも相談しながら、クーポンの「出し分け」も検討していきたい。

-今後のATM事業の展開は?
 金融業界全体でみると、地域金融機関はATMを自前で持ちきれなくなってきている。地域金融機関とこれからお互いに補完しながらやっていくなかで、目玉の一つはATMの事業を我々が代わりに請け負うこと。顧客の利便性は落とさず、地域金融機関のコスト削減につなげる提案をし、いくつか話を進めている。今までなかなか踏み切れなかった問題だが、いよいよ2019年以降、具体的な形がでてきそうだ。

-同業のセブン銀行とのすみ分けは?
(セブン銀行も)今、どんどん地域金融機関との連携を強めており、その意味ではぶつかってしまう。セブン銀行さんとの間では、互いに2001年からATMビジネスを推進しており、ともに社会インフラとしての機能を果たすためには、互いを尊重しながらやっていくことだと思う。コンビニ銀行が2行あることはお客様にとって選択肢もあり、良いことだと思っている。

-ローソングループの銀行であることの強みは?
 「ブランド」の強みがある。ローソンとして確立したブランドを使えるのは強い。フィンテックなど新しい異業種が参入してきても、日本国内で1万4,000カ所以上の店舗を張り巡らすことは物理的に簡単にできることではない。それをローソングループとして活用できるのは非常にありがたい。それと2001年から積み重ねてきたATM事業。これが地域金融機関と10数年にわたりつながってきている。そして、コンビニには必ず人が来る。例えば極端な話、年収300万円の人も来るし、年収10億円の人も来る。その人たちがみんな同じおにぎりを買って食べる。それらの人に同等の満足度を提供する場所。コンビニは「(来てくれと)言わなくても、人が来てくれる場所」。そこでの出店が強みだ。

ローソン銀行・山下社長、営業開始にあわせ制作した“社員の声”を前に(TSR撮影)

ローソン銀行・山下社長、営業開始にあわせ制作した“社員の声”を前に(TSR撮影)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年1月17日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ