• TSRデータインサイト

RIZAPに買収された企業の業績は....

 11月14日、RIZAPグループ(株)(TSR企業コード:295695790、札証アンビシャス)が2019年3月期連結業績予想を発表した。
2019年3月期通期の連結営業利益が当初予想の230億円の黒字から33億円の赤字、当期純利益を159億4,000万円の黒字から70億円の赤字へ、それぞれ大幅に下方修正した。
下方修正の要因は、これまで買収してきた子会社の構造改革関連費用の計上が大きい。東京商工リサーチ(TSR)に、RIZAPグループの子会社に関する問合せが増えている。

2019年3月期で80億円超の構造改革費用

 構造改革関連費用の内訳は、2018年9月中間期で(株)ワンダーコーポレーション(TSR企業コード:280197969、つくば市、JASDAQ、以下ワンダー社)の商品評価損や、不採算事業・店舗の撤退に関する費用33億6,000万円がほぼ半分を占めた。また、(株)ぱど(TSR企業コード:350657912、千代田区、JASDAQ)の不採算事業の一部減損費用2億3,000万円、非上場会社の(株)ジャパンゲートウェイ(TSR企業コード:296432849、新宿区)と(株)タツミプランニング(TSR企業コード:352016531、横浜市西区、以下タツミ社)のメガソーラー事業の不振に伴う構造改革費用の27億5,000万円など、上期合計68億3,000万円に及ぶ。
下期はワンダー社、ジャパンゲートウェイ、タツミ社のメガソーラー事業などの構造改革費用15億2,000万円を予定。2019年3月期通期では合計83億5,000万円を構造改革関連費用として計上する見通しとなった。

RIZAPグループ連結上場子会社の業績

子会社の業績は...

 RIZAPグループの連結子会社の9月中間期では、9社のうち7社が当期純損失、5社が2019年3月期通期の業績予想を修正している。
RIZAPグループの構造改革は、グループの業績にインパクトが大きい企業から優先的に着手することを発表しており、上場子会社の動向に注目が集まっている。
決算説明会で松本晃・代表取締役構造改革担当は、RIZAPグループを「おもちゃ箱のような会社」と称し、「壊れているおもちゃが多く、ビジョンにそぐわないも会社もある」と表現した。RIZAPグループは、子会社の経営再建の早期完遂に向け構造改革を推進しているが、瀬戸健・代表取締役社長は「投資回収や収益改善が困難な企業の縮小、撤退、売却を行う」と明言している。
今後は、子会社のなかで再建に本格的に取り組む会社と、グループから切り離す会社の選別も行われることが予想される。これまで以上に、RIZAPグループ本体、子会社の業績や再建動向に目が離せない状況となってくる。

RIZAP・瀬戸社長

RIZAP・瀬戸社長

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年12月7日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ