• TSRデータインサイト

データ改ざんが発覚したTATERU 決算見通しを下方修正、現預金が大幅減

11月12日、投資用アパートの開発・販売の(株)TATERU(TSR企業コード:872098940、東証1部)が、2018年12月期の連結業績(連結)を下方修正した。従来予想は、売上高766億1,100万円、経常利益70億9,900万円だったが、売上高を722億3,800万円(従来予想比5.7%減)、経常利益を29億900万円(同59.0%減)に、それぞれ下方修正した。
8月にTATERUの従業員が、顧客から提供を受けた融資関連書類を改ざんしていたことが発覚し、主力のアパートメント事業の受注が大幅に悪化した。アパートメント事業の成約は、2018年12月期第2四半期(4-6月)は255件と好調だったが、不祥事が発覚後の第3四半期(7-9月)は45件に激減。成約した255件も、第3四半期に133件が契約取り消しになった。
11月13日、TATERUの担当者は東京商工リサーチの取材に応じ、「(2018年12月期)第1四半期以前の成約で契約取り消しはない」とコメント。10月以降の成約状況については、「具体的な数値はコメントできない」とした上で、「広告活動を自粛しているが、引き続き営業活動は行っている」と述べるにとどめた。
また、2018年9月末時点の貸借対照表(連結)によると、販売用不動産(在庫)は149億2,237万円(前四半期比237.9%増)へ大幅に増加している。一方、現預金は70億5,171万円(同62.6%減)に減少し、一連の改ざん問題が財務バランスに大きく影響している。

(株)TATERUの貸借対照表(連結)

(株)TATERUの貸借対照表(連結)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年11月14日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

3

  • TSRデータインサイト

コロナ禍で急拡大の「マッチングアプリ」市場 新規参入のテンポ鈍化、“安全“投資で差別化

20代、30代の若者を中心に、恋活や婚活、恋愛の真面目な出会いを求めるマッチングアプリの利用が広がっている。マッチングアプリの運営会社はコロナ禍を境に急増し、社数は6年間で5.6倍になった。2019年3月末の5社から、2025年3月末は28社と6年間で大幅に増えた。

4

  • TSRデータインサイト

丸住製紙(株)~ 倒産した地元の“名門”製紙会社の微妙な立ち位置 ~

2月28日に新聞用紙の国内4位の丸住製紙(株)(四国中央市)と関連2社が東京地裁に民事再生法の適用を申請してから2週間が経過した。負債総額は約590億円、債権者数は1,000名以上に及ぶ。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、地元の取引先や雇用への影響が懸念されている。

5

  • TSRデータインサイト

介護離職者 休業や休暇制度の未利用54.7% 規模で格差、「改正育児・介護休業法」の周知と理解が重要

団塊世代が75歳以上になり、介護離職問題が深刻さが増している。ことし4月、改正育児・介護休業法が施行されたが、事業規模で意識の違いが大きいことがわかった。

TOPへ