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「Zaif(ザイフ)」 仮想通貨67億円が消失

 仮想通貨取引所の「Zaif(ザイフ)」を運営するテックビューロ(株)(TSR企業コード:576983667、大阪市西区、以下ザイフ)は9月20日、不正アクセス等のハッキングにより仮想通貨67億円が消失したことを明らかにした。
ザイフは9月14日以降、「システム障害」で仮想通貨の一部の入出金などのサービスを停止。同社は9月17日、障害について「顧客資産の安全を確認した」とツイッターで公表したばかりだった。システム管理だけではなく顧客への情報開示でも問題になりそうだ。
ザイフによると、不正アクセスで流出した仮想通貨はビットコイン(BTC)やモナコイン(MONA)、ビットコインキャッシュ(BCH)の3種類で合計67億円。このうち、顧客から預かっている仮想通貨は45億円、ザイフの資産分は22億円という。
9月14日、17時頃から19時頃に外部から不正アクセスされ、ザイフのインターネットに接続されている入出金用システム「ホットウォレット」から流出。同月17日、サーバーの異常を検知し18日、ハッキング被害を確認した。
9月20日、ジャスダック上場の(株)フィスコ(TSR企業コード:293061823、東京都港区)のグループ会社から50億円の資金支援のほか、テックビューロの過半数の株式の取得などを検討する契約を締結したことを発表。また、セキュリティ向上の技術支援をジャスダック上場の(株)カイカ(TSR企業コード:292814275、東京都目黒区)と契約したことも合わせて公表した。
9月下旬にフィスコのグループ会社から50億円の資金支援を受け、ザイフが不正流出した顧客の仮想通貨分を調達し、「お客様の資産に被害が及ばないように準備」する意向。
ザイフは今年3月8日、金融庁から実効性のあるシステムリスク管理などの体勢構築について業務改善命令を受けている。さらに6月22日、経営管理体勢や顧客資産の分別管理などに問題があるとして、異例の2度目の業務改善命令を金融庁から受けていた。

テックビューロの本社のビル外観(一部加工、4月27日撮影)

テックビューロの本社のビル外観(一部加工、4月27日撮影)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年9月21日号に掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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